NHKスペシャル 大江戸 第2集「あきんど開花!」
2018年6月10日(日曜日)放送の『NHKスペシャル』は、シリーズ 大江戸の第2集「驚異の成長!!あきんどが花開かせた商都」のストーリー。
大名バブルがはじけた後も、天明の飢饉による「とりつぶし」が勃発しても江戸はなぜ持ちこたえられたでしょうか?…そこにあったのは江戸幕府ではなく「江戸っ子あきんどパワー」だったといいます――。
Nスペ「大江戸2」番組データ
【放送日時(初)】 2018年6月10日(日曜日)21:00~21:49
【放送局】 NHK総合テレビ
【番組タイトル】 NHKスペシャル 大江戸 第2集「驚異の成長!!あきんどが花開かせた”商都”」
【出演】 松平健 木村佳乃 溝端淳平
【語り】 沢城みゆき
新発見が続々!!東京のルーツ=“ #江戸 ”の知られざる歴史ロマン。
— NHKスペシャル公式 (@nhk_n_sp) June 10, 2018
小さな田舎町から世界最大の都市へ。爆発的成長の秘密とは?#NHKスペシャル 「シリーズ #大江戸 第2集 驚異の成長!!
あきんどが花開かせた“商都”」こんや9時です!https://t.co/hHrzdNk8Ws pic.twitter.com/wXqbWwFM8M
意外!?「武士でなく町人が主役だった江戸の町」
2017年オランダの経済研究「マディソンプロジェクト」にて、江戸時代の日本がイギリスやオランダに肩を並べる経済発展を遂げていたということが解りました――。
鎖国が続いていた江戸時代になぜ、驚異の経済成長が可能だったのでしょうか?
東京の都心で発見された江戸時代の長屋跡。
当時は人々がひしめき合うような暮らしだったのですが、意外にも町民は豪華な暮らしをしていたという痕跡が見て取れます。
織部焼や高級食材アワビ、銅の小物入れ、青いガラスの髪飾り、漆塗りの鏡、銀のキセル、浮世絵などなど…かなり華やかな品々が出土しました。
驚異の急成長!!商人の町「日本橋」
18世紀当時の世界経済成長の方法を調べてみると、イギリスやオランダなどの「植民地を持ち貿易によって高い経済成長率を得ていた…」のはよく知られていて、それは当時、もっともメジャーな稼ぎ方でした。
一方江戸時代の日本は、鎖国していたにもかかわらず、オランダを抜いて世界第二位の経済成長率を誇っていたのでした。(推計:高島正憲氏(東京大学))
江戸の経済の心臓部は「日本橋」――。町はおよそ5000件のお店がならぶ超巨大あきんどタウンです。
創業300年の老舗店「伊勢屋(現在のにんべん)」に江戸時代の頃の商いの記録(160年分)が残っているといいます。その記録をにんべん社長の髙津克幸さんが公開しました。
記録を書いたのは江戸幕府の誕生から100年後、3代目伊勢屋伊兵衛(1714~1779)です。
当時の主役はサムライ達。「天下普請(巨大公共事業)」による建設資金流入と「参勤交代」による膨大な消費によって江戸は世界最大の都市に成長していました…。
江戸人口の半数は生産せず消費だけ行う武家たち、そして残り半数は商人や職人たちです。
経済が急成長する江戸にはチャンスを求めて次々と色んな人が流れ込んできたといいます。
初代伊勢屋もその一人で、武士相手の商いをして日本橋で一番の商店にしてみせると意気揚々でした。
東京工業大学教授の山室恭子さん(近世史)によれば「天下普請直後の江戸は、巨大な消費をするだけの人々(武家)によって栄えた」といいます。
(法政大学兼任講師:筑後則さん)例えば”加賀百万石”の加賀藩の江戸屋敷は3000人が暮らす東京ドーム7つ分もの広大な土地がありました。まるで加賀藩だけで一つの都市のようです。
大名達は贅沢の限りをつくし、対面や格式の維持に必死で借金をしながら贅沢を続けていました。
その加賀百万石に取り込んだ伊勢屋は大成功!急成長を続け、やがてわずか一代で8千両(10億円)の日本橋一の資産家となったのです。
大名バブルで元禄文化が花開き、歌舞伎、相撲など今に続く江戸文化も大きく育ってゆきました。
江戸の建設をになった大名たち破滅…
1729年(亨保14)、絶好調だった伊勢屋を突然の不幸が襲います。初代伊勢屋が亡くなってしまったのです。さらに重ねて不幸は続き、ほどなく大名バブルの崩壊がはじまりました…。
江戸の大名達もだんだん豪勢な消費が続けられなくなって行きました…
物価の急激な高騰に、年貢の収入が追いつかなくなってしまったのです。
大名頼みの商人は次々と潰れて行きました。伊勢屋も例外ではなく大名達によって借金を踏み倒され(※当時大名への刑罰はありませんでした)経営状態が苦しくなり、大きな危機に直面したといいます…。
町人を相手に商売を始めた商人達
そこで、商人達は武士から数の多い江戸の町人を相手に商売を始めました。
芝居を見せたり、安い浮世絵を大量生産して販売したり、お菓子の販売、地方から安い調味料を大量に仕入れて屋台向けに販売したりしました。
商売の軸が侍から町人相手に移ったことで伊勢屋も復活しました。
東京大学の高島正憲先生によれば、江戸の様々な職業が産業間の取引を活発にし、江戸経済を大きくしたといいます。
例えば「浮世絵が1枚売れる」…このことは「版元」「絵師」「摺師」「彫り師」という職業が発生します。さらに「紙」「筆」「顔料」「版木」「小道具」「摺師」「刃物」などの道具も必要となり浮世絵が売れるだけでも大きな経済活性化の一面を見ることが出来るのです。
江戸には「キセルを一服吸わせるお店」「坊主の格好をして托鉢する芸人」「砂絵を描くひと」など幅の広い商売が盛んになり、町人が主役の経済がますます発展して行きました。
#大江戸
— 香港でsake and rain (@sakeandrain) June 10, 2018
日本のテレビがおもしろかったでござる。1枚だけ昔の江戸のミニチュアの写真でござる。その他は今の姿→拙者の好きな日本橋でござるな。今要注目のスポットが多いのでござる。これは散歩してた時にちょいと日本のタレントさんがなんか撮影してたでござるな。あと水上交通も当時から発達⚔️🌊 pic.twitter.com/Gi3tiYKd2Z
やがて訪れる「経済成長のひずみ」
(VTR出演:江戸東京博物館名誉館長:竹内誠さん)
しかしやがて町人経済にもひずみが生まれます。
1750年(寛延7年)伊勢屋の日記を調べると「1日に87人への施しをした」と書かれており、当時の江戸は貧富の差がとても激しい『格差社会』の時代でした。
さらに1783年(天明3年)には「浅間山の大噴火」が起き、東日本は灰で覆われました…。その影響で「天明の飢饉」が発生、餓死した人は10万人とも100万人とも言われています。
農村で働いていた人々は江戸に流れ込み、格差はさらに広がり続けました。
やがて貧しい人々が反乱を起こし、富を蓄えた商店を次々と襲う「とりつぶし」がはじまってしまいます…。
5日間でなんと1000軒も破壊され、商人は一晩で財産を失いました。
江戸じゅうの売買は停止、社会機能は一気に麻痺したのでした。
江戸東京博物館名誉館長の竹内誠さんは、「当時、金持ちと貧乏人の間に一気に矛盾が生じ、いきなり金持ちに対しぶつかってゆくという事が勃発した。――格差社会が生じ、危機的な社会情勢になるときに金持ちがどういう行動をとるか?…それが持続的な経済を成り立たせるものだと思う」と話しました。
実際にフランスでは、貴族だけが贅沢をし、市民をないがしろにした結果として「フランス革命」が発生…国王はギロチンにかけられ体制は崩壊したのでした。
江戸の庶民の話が出てたけどこれが同時代のロンドンだから
— やまだ (@sakusakutoux) June 10, 2018
ロンドンの庶民より江戸の庶民の方が良い暮らししてたのは間違いない
まあ庶民が浮世絵買えるせかいだしね
#大江戸 pic.twitter.com/2tJ7c8lKVF
江戸はこの危機をどう乗り越えたのか?
(VTR出演:法政大学兼任講師:筑後則さん)
江戸では天明の飢饉によって貧しい人々が金持ちの商店を襲うとりつぶしが発生、いつ江戸幕府が崩壊するかわからない状況となりました。
そこで江戸の商人達は「町会所(まちかいしょ)」を結成。
この組織は地区ごとに商人が米を買い集め、貧しい人々に配給するという組織でした。いわば江戸のセーフティーネットです。
町会所の蔵には50万人が半年以上も食べ続けられる米が貯蔵され、費用の負担は商人が持ったと言います。
商人たちはこうした負担をしてゆくことで、結果的にはとりつぶしの発生を抑え、自滅せずにやって行くことが出来るようになりました。
こうして江戸は幕府では無く商人達の主導により経済が持ち直したのです。
さらに町会所は、老朽化した水路を再建したり大切な商品の流れを確保するなど現在のお金で1千億円を超える支出も行い経済成長は復活したのでした。
その時に日本経済の礎を築いた日本の商人。代々続く老舗が日本橋には20以上もあります。
- 三越(創業1673年)
- 日本橋 木屋(創業1792年)
- 山本山(創業1690年)
- 伊勢屋【にんべん】(創業1699年)
などなど…
江戸時代…武士から商人に主役が変わりながら成長した江戸の経済。その遺産を土台に東京、そして日本はこれからも成長を続けて行きます。
(※2018年6月10日(日)放送「NHKスペシャル 大江戸 第2集「驚異の成長!!あきんどが花開かせた”商都”」」より)
Nスペ「大江戸 第2集」放送終了後の反響ツイートは?
https://twitter.com/tyuusyo/status/1005782425719341056
つーか、江戸と松平健といったらコレしかないだろ…#NHKスペシャル #大江戸 pic.twitter.com/pogdz6pmkV
— 阪本製薬の糸ようじ (@Tsunemi2_kai) 2018年6月10日
江戸時代商人は非課税だったんだよ、
— 井出崇之 (@16031867k15) 2018年6月10日
そこで田沼意次は商人から税をとろうとしたけど
受け入れてもらえなかった、もし実現したら
幕府の懐は潤っていたかも #大江戸
— ののまる (@nonomaru116) 2018年6月10日
https://twitter.com/sakusakutoux/status/1005790345513222144
https://twitter.com/sakusakutoux/status/1005791391060975617
打ちこわしにもルールがあって、窃盗とかはご法度だったはずでは #大江戸 #NHKスペシャル
— 安蔵@まん防なう (@yszo5th) 2018年6月10日
https://twitter.com/tyuusyo/status/1005791732913471491
https://twitter.com/sakusakutoux/status/1005792047855370241
打ちこわしって実はルールがあって、略奪は原則禁止(物を壊すだけ)で、略奪したらお奉行所に引っ張られるんだよな。実際は天明期以降、略奪もだいぶあったんだけど。 #NHK #大江戸
— ののまる (@nonomaru116) 2018年6月10日
https://twitter.com/tyuusyo/status/1005792279032807424
#大江戸 江戸の打ち壊しとそれに伴う寛政の改革は浅間山噴火がきっかけで、フランス革命も確かアイルランドかどっかの火山が大噴火して天候不順による飢饉がきっかけって聞いたぞ
— tocco@鎌倉大河を見るまでは死ねない (@HyperionTocco) 2018年6月10日
民間主導のセーフティネット。この時点で幕府経済も破綻寸前だったので政府主導に出来ないんですよね、なので、ちゃんと内部保留しないで救済を商人が行った。 #大江戸
— PasterKeaton (@PasterKeaton) 2018年6月10日
情に通じ足るを知ることが富である。至言 #大江戸
— すいか🐰 (@suika1015) 2018年6月10日
経済の安定が失われれば暴動がおこる。古今東西どこにも起こりうることなんだね #大江戸 セーフティネットが機能するかどうかは富む側の理性と利益を見誤らないことにかかっている。足るを知るっていい言葉だ。
— 月猫 (@mooncatlove) 2018年6月10日
https://twitter.com/swingmamma/status/1005792667140149248
町会所が社会問題を解決したのではなく、矛盾が極まったから幕藩体制が崩壊したのだと思うのですが、日本の市民自治の伝統、経済重視の伝統が強調されるのはとてもいいことですね #Nスペ #大江戸
— 石井孝明(Ishii Takaaki) (@ishiitakaaki) 2018年6月10日
https://twitter.com/sakusakutoux/status/1005792980395966464
今回は商人テーマだから触れてないけど幕府も飢饉の時とかには
— 炭酸煎餅 (@Tansan_senbei) 2018年6月10日
マッハでお救い小屋とか設置して結構近代的な対応してたんよ
#大江戸
https://twitter.com/tyuusyo/status/1005795339721297920
今夜のNHK「大江戸」では、金持ちになった商人たちが集まって弱者を救済していたのが江戸の町、みたいなつくりになっていたけど、それだったら遊郭文化なんてものは生まれていないですよね。華の影に闇があり、その闇を華に転化するループが行われていたのが「江戸」というのが私の認識。#大江戸
— 白い悪魔 (@mo_whitedevil) 2018年6月10日
#大江戸 #NHKスペシャル
— たのあきら(公開用) (@tanoakira_open) 2018年6月10日
余談になりますが、田沼意次は積極財政、松平定信は緊縮財政を指向したように言われます。ですが、実際は意次は黒字を溜め込み、一方の定信はその溜め込んだお金を使い切ってしまったそうです。一般的なイメージとは逆ですね。
#大江戸 #NHKスペシャル
— たのあきら(公開用) (@tanoakira_open) 2018年6月10日
まあ、時間の制約もあるので全部を紹介するのは無理として、江戸時代の金座があった場所(現在の日銀があるところ)の紹介や貨幣の説明はあっても良かったかと思います。
#NHKスペシャル #大江戸 本当に一瞬なのに目撃情報多数(笑)ありがとうございます!見逃がした方6/13(水)午前0時45分~の再放送を是非。
— 堀口茉純 (@Hoollii) 2018年6月12日
茶屋娘はお江戸のアイドルでそのファッションが浮世絵にも取り上げられる存在😳⤴なので衣装がとてもカワイかった❤時代劇のこういうディテールのこだわり大好き。 pic.twitter.com/BXPQ68hpjS
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