チョイス@病気になったとき「骨折対策」
2016年9月3日(土曜日)に放送された、「チョイス@病気になったとき」は、骨折対策についてのチョイス。
全治3ヶ月の治療がある方法で3日に短縮?BKP手術などの手術や骨を守るためのチョイスを紹介する。内容は「骨折を治す」「骨を強くする」「骨を守る」。
チョイス@病気になったとき番組データ
【放送日時】 2016年9月3日(土曜日)よる8時頃(45分)
【放送局】 NHK Eテレ
【番組名】 チョイス@病気になったとき 今日からできる!骨折対策
【出演】 八嶋智人(骨折の経験はなし) 大和田美帆(骨折の経験はなし)
【チョイスコンシェルジュ】 新井秀和(アナウンサー)
【スタジオゲスト専門家】 細井孝之(骨粗しょう症財団理事)
【語り】 佐藤真由美 江越彬紀
どこの骨を折ると寝たきりになりやすい?
番組最初に、新井秀和アナウンサーが「どこの骨を折ると寝たきりになりやすいでしょうか?」と質問。
答えは、「太ももの、大腿骨(だいたいこつ)の付け根」。
大腿骨の付け根は、人間の骨の中で一番大きな骨となる。
特に高齢者がこの骨を折ると治療に時間がかかりそのまま寝たきりになるケースが多い。
井坂治代さん(73歳)の場合
井坂治代さんは、73歳。現役の広告デザイン会社の社長。体はいたって健康でこれまで大きな病気もなく過ごしてきた。
ところが、20cmくらいのマットの端で滑り無理な姿勢を取ったため腰から「グシャッ!」と骨が折れる音がした。
「折れたな…」とその瞬間解ったという。変に姿勢を変えてはダメだと思い携帯で娘さんに連絡を取り、寝た姿勢のまま動かずに2時間娘を待った。
娘さんが到着し、すぐに病院へ行くために起き上がると不思議な事に痛みがない。歩ける。
病院へ行くとやはり、背骨が骨折していることが判明した。
なぜ痛くなかったのか?
診断をした、参宮橋脊椎外科病院院長の 大堀靖夫先生によれば「骨粗しょう症性の脊椎圧迫骨折」だった。
骨ができるまでの仕組みと骨粗しょう症?
骨ができるまでの仕組みは以下のようになっている。
骨では「骨を壊す”破骨細胞(はこつさいぼう)”」と「骨を作る”骨芽細胞(こつがさいぼう)”」の二種類が働いている。
- 破骨細胞が骨を壊す
- 骨芽細胞がその部分を作る
- 破骨細胞が別の部分を壊す
- 骨芽細胞がその部分を作る
このバランスの良い繰り返しによって、骨は新しい骨へと作り変えられている。
しかし、加齢や更年期障害(女性)などにより破骨細胞が働き過ぎると、新しい骨が作られないためどんどん骨がスカスカになってしまう。これが「骨粗しょう症」の状態。日本で約1,300万人の骨粗しょう症の患者がいると言われている。
その割合は……。(※女性に多い…更年期障害のホルモンバランス異常のため)
- 60代 … 2人に1人
- 70代 … 7割
女性に骨粗しょう症が多いのはなぜ?
女性に骨粗しょう症が多いのは、女性ホルモンが関連する。
更年期となり、女性ホルモンがなくなると一気に「破骨細胞」の力が強くなり骨がスカスカになってしまう。
骨粗しょう症の確実な検査方法は?
現在一番確実な、検査方法は「デキサ法(DXA法)」と呼ばれる精密検査で、骨の強さを測る。
測る場所は「(骨折しやすい)腰椎の下の方」と「(折れたら大変な)大腿骨の付け根」を測る。年齢に比べて自分の骨粗しょう症がどの程度か知ることが可能。
自宅で出来る骨粗しょう症の検査方法は?
一番簡単に骨粗しょう症が分かる方法として、「身長の低下」がある。
普段の身長を図っておき、骨が縮んで身長が下がっていないか見ることで自分の骨粗しょう症を判断できる。
- 高齢者で、身長が2~3センチ低下している場合は骨粗しょう症による圧迫骨折を起こしている可能性が高い
また、壁を使ってチェックする方法もある。
- 壁に、かかと、背中、後頭部を付けてまっすぐ立った場合、後頭部が壁につかない時は骨粗しょう症の可能性が高い
さらに、「50代以降に骨折がある」「家族に骨粗しょう症と診断されたひとがいる」などがある。
整形外科、産婦人科、内科などに検査を依頼しよう。
骨粗しょう症による「圧迫骨折」とは?
骨粗しょう症の状態では、骨がスカスカになっているので簡単な力で骨は折れてしまう。例えば軽く尻餅をついたなどでも折れてしまうことがある。
これを「圧迫骨折(あっぱくこっせつ)」という。
井坂治代さんはこの「圧迫骨折」になっていた。
圧迫骨折は、手や足の骨折よりも自覚症状を感じにくいのが特徴。
圧迫骨折は骨の内部が潰れるので”骨膜”が傷つかないそのため3人に2人は痛みを感じないという。
骨折の連鎖(ドミノ倒し骨折)
しかし、痛みがないからといって放置していると破壊が進んでひどい変形を生じるという。
圧迫骨折を起こしたということは骨折した部分以外の骨も弱い。しかも変形した骨は他の骨にも負担を掛け(ドミノ倒しのような)骨折の連鎖を起こしてしまうので放置してはいけない。
また、重心が前に行くため転倒しやすくなり、さらに大きな骨折を起こすかもしれない。
治療方法は「安静」or「手術」?
井坂さんは「3ヶ月の安静」と言われた。特別なコルセットを付けて3ヶ月「安静」にする。
しかし、社長をしているので仕事を休めないどうしよう…と思ったという。
井坂さんのチョイスは「手術」!?
そこで、井坂さんは「手術」することにした。
なんと3日で退院できることと痛くないことが魅力だった。
それは「BKP」という手術法。
BKPとは、「バルーン・カイフォ・プラスティ」の略。
2011年から保険適用となった、バルーン手術のこと。
潰れた骨の部分に5ミリの穴を開け、そこにカテーテルを差し込んでバルーンをふくらませる。すると潰れた部分が膨らんで空洞になり、その空洞に「骨セメント」という人工の骨を流し込んで元の背骨の形に戻す。という手術。
手術は30分程度で、退院当日に仕事を再開できたという。(ただしデスクワーク)
BKP手術(バルーン手術)はどこで受けられる?
BKP手術が出来るのは、決められた認定医療機関だけ。
かかりつけの医師に相談し認定医療機関を探すとよい。
- 費用 … 3割負担で約10万円(※高額医療費制度適用)
- 対象外になる時 … 骨折の数が多い、骨の変形が強い、全身の健康状態が悪い、神経障害があるなど
骨を強くする方法とは?
美容師の佐野芳子さん(79歳)。骨粗しょう症と診断されたが、今も骨折無く仕事を続けている。
佐野さんが通っている、昭和伊南総合病院。
中村幸男(昭和伊南総合病院 整形外科(信州大学助教))先生は、「半年に1回の皮下注射 ”デノスマブ”」を薦めている。
デノスマブは、破骨細胞の働きを弱める効果がある。また効果は半年間持続する。
ただし注意点もあり、「低カルシウム血症」を引き起こす場合があるため、注射だけでなく食事からカルシウムを補給する必要がある。
中村幸男先生がお薦めするのは、「小松菜を週に3回程度4分の1束、乳製品を多く摂る」など食生活の見直しが大切。
- しいたけ … カルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富
- じゃこ … カルシウムが豊富
また、骨そのものを強くするために「踏み台昇降運動」などの運動も大切。
骨粗しょう症の治療薬の種類は?
骨粗しょう症の治療薬には、「破骨細胞」「骨芽細胞」のどちらかに作用する。
- デノスマブ(抗RANKL抗体) …(働き)破骨細胞を弱める(使用法)注射(特徴)半年に1回で回数が少なくて楽、低カルシウム血症がある、費用が高い(1本9,000円※3割負担)
- ビスホスホネート … (働き)破骨細胞を弱める (使用法)飲み薬・点滴・注射 (特徴)中~重度向き。副作用が少ないが非常に希に歯周病が原因で”顎骨壊死(がっこつえし=顎の骨が溶ける)が起きる。使用制限がある
- サーム(SERM) … (働き)破骨細胞を弱める (使用法)飲み薬 (特徴)女性ホルモンと似た働き。静脈に血栓ができるので寝たきりの人は不向き
- 副甲状腺ホルモン薬 … (働き)骨芽細胞を強める (使用法)自己注射・皮下注射 (特徴)重症の方に向いている。短期間で骨密度上昇。試用期間に制限・費用が高い(一月15,000円)
骨を強くする食事について
骨を強くするにはまずカルシウムを摂ること。
また、ビタミンDやビタミンKもカルシウムの吸収を助けるため大切。
- カルシウム … 牛乳、小松菜、干しエビ
- ビタミンD、活性化ビタミンD3 … 鮭、しいたけ、日光を浴びる(手のひらを15分から30分日光に当てるだけでもOK。日焼けするほどはいらない)
- ビタミンK … 納豆、ブロッコリー、レタス(骨をしなやかにする)
骨を強くする運動について
骨に重力が加わるような刺激が大切。
- スクワット
- 片足立ち
高齢の場合は自分にあった運動を無理なく行う必要がある。
骨を守ること
北海道大学教授の、田中敏明先生(スタジオでも登場)。
田中先生は、足の裏の感覚が落ちると転倒につながるという研究をしている。
特に足の指の感覚が重要。転倒のリスクを直前に感じ取るため足の指や裏でトレーニングをする。
転倒予防トレーニングとは?
- 足の裏だけでたわしや石鹸等つるつるやでこぼこを感じ取るトレーニング
- クロストレーニング … (壁の近くで行う)不安定な厚い座布団の上に立って、前後左右に体を傾けて3-5数秒間維持する
- 足の指の筋トレ … 椅子に座り、床に広げたタオルの足の指だけでくしゃくしゃとたぐり寄せる運動
チョイス@病気になったとき反響ツイート
このあと20:00~チョイス@病気になったとき。転倒による骨折は寝たきりにつながりやすい。その原因となる骨粗しょう症は60代女性の約半数にものぼる。骨を強くする薬の選び方や簡単な転倒予防トレーニングを伝える。https://t.co/dX1gkwgYGk #Eテレ
— NHK Eテレ編集部 (@nhk_Etele) 2016年9月3日
次回の「チョイス@病気になったとき」は…
次回のテーマは、「目の疲れ」。頭痛、めまい、肩こりにまで繋がるめまいの正体とは?目の疲れを解消する方法とは?
前回の「チョイス@病気になったとき」は…
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