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【巨大開発は日本を救えるのか…】NHKスペシャル平成史「東京超高層シティー 光と影」異次元の容積率緩和で進むビル開発の未来や如何に?…竹中平蔵氏・三菱地所・森ビル登場!【2019年4月6日(土曜日)放送 NHK総合テレビ】



NHKスペシャル 平成史第6回「東京超高層シティー」

2019年4月6日(土曜日)放送のNHKスペシャルはシリーズ平成史第6回「東京超高層シティー」でした。

~なぜ20年という長い平成バブル不況の中で新たな超高層ビル開発が可能だったのか…超高層ビル建設ラッシュの舞台裏をNスペ取材班が追っています。

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Nスペ(#平成史 #超高層ビル開発)番組データ

【放送日時】 2019年4月6日(土曜日)21:00~21:50
【放送局】 NHK総合テレビ
【番組タイトル】 NHKスペシャル 平成史 第6回 「東京超高層シティー 光と影」
【内容テーマ】 バブル崩壊後の起爆剤として超高層ビル開発が進む東京…しかし人口減少が進む中、はたして巨大ビル開発が負の遺産になりはしないか…問題を提起する
【リポート】 有馬嘉男(NHKアナウンサー)
【ナレーション】 広瀨修子(NHKアナウンサー)
【テーマ音楽】 千住明
【登場人物】 髙木茂(三菱地所 元社長) 宮本慶子(三菱地所元社員) 綿引浩之(三菱地所 商業施設営業部 専任部長) 河村茂(元東京都土地利用計画課長)ほか

平成から令和へ~330以上の巨大開発プロジェクト始動す!

平成に入って建てられた100メートル以上の超高層ビルは東京で313棟、大阪108棟(あべのハルカスなど)、名古屋27棟(ミッドランドスクエアなど)…合計448棟にもなりました。

またすでに東京はオフィス面積でニューヨークやロンドンを超えているとのこと。

平成から令和に入るとさらに330以上もの巨大開発プロジェクトが予定(※東京大改造マップ 2018-20XX:日経アーキテクチャ編より)されていて、平成はまさに「超高層シティー」先駆けの時代となりました。

かつて丸の内ビル群はレトロで低かった…そこに襲ったバブル崩壊

今から30年前の1989年…。

東京丸の内エリアは今では想像も出来ないほど低く(高さは一律31m前後)、築50年を超えるレトロなオフィスビルが建ち並んでいました。

バブル崩壊後の1997年(平成9年)山一証券、長銀、北海道拓殖銀行などが次々と経営破綻し、丸の内一帯で儲けていた金…総売上高100兆円が消し飛んでしまったため大打撃を受けました。

1000社有ったテナントはどんどん去り、丸の内のビルオーナーは困り果てます…。

1998年”丸の内復活プロジェクト”立ち上がる!

1998年(平成10年)、丸の内を再生するために三菱地所がプロジェクトを立ち上げました。その名も「丸の内復活プロジェクト」。

そのプロジェクト唯一の女性メンバーだった宮本慶子さんは「丸の内再生に当たっては、当時の男性中心で働きにくい丸の内のオフィスを根本的に変えたかった。」といいます。その問題点とは――

  • 家族やビジネスマン以外の人も集える場所になっていない
  • 男女雇用機会均等法(1986年施行)によって増えた女性にビジネス環境の整備が追いついていない
  • ビジネスマンだけが占有しているイメージがある
  • オフィスで長時間の会議…タバコの煙は当たり前という風潮
  • 丸の内にはおじさん御用達の食事処や酒場などばかりでランチが苦痛になる…

宮本さんの提案を聞き、当時同じ丸の内復活プロジェクトのメンバーだった綿引浩之さんは「女性の視点こそが丸の内再生の切り札」と考え、復活プロジェクトのメインテーマとして決定しました。

(※Googleマップより。2009年の東京駅正面。まだメインストリートは完成前だった)

復活に立ちはだかった「ビルの高さ制限」問題とは?

その後、宮本さんたちの丸の内再生プロジェクトは約1年をかけブループリントが完成。

その主な計画は「メインストリートにカフェなどの商業施設を誘致し休日も人を呼び込もう」というものでした。そしてこの計画で採算を取るには丸の内を高層ビル群に立て替え商業施設をもっと充実させる必要があります。

しかし建物を管理する東京都は当時、丸の内の一極集中を防ぐため新宿や品川、臨海副都心への移転・分散を進めていてビルの高層化には反対の立場だったのです…。(※都庁舎が新宿に建てられたのも分散計画のひとつだったそうです)

丸の内復活プロジェクトで商業施設を誘致するためには少なくとも1300%の容積率が必要でした。ところが当時許可されていた容積率は1000%が限度だったのです…。

流れを断ち切ったのは「東京駅の空中を売る」奇抜なアイデアだった!?

立て替え計画が実現不可能…と思われたその時、流れを大きく変えたのがJR東日本元社長:松田昌士(まつだまさたけ)さんでした。

国の重要文化財に指定されている丸の内の中心、東京駅。松田さんは平成の大復元工事を推し進めた責任者です。

当時JR東日本社長だった松田さんは、「500億で東京駅の上空の容積を(三菱地所に)売ろうじゃないか!」という奇抜な提案をしたのです。

国鉄分割民営化(1987年=昭和62)の折り6兆6千億円という巨額債務を抱えていたJRは、東京駅を40階建ての超高層ビルに建て替え、家賃収入を得る考えが主流でしたが松田さんは断固として立て替えに反対しました。

日本の歴史的シンボル―東京駅の空中は売れる!

当時の東京駅は2階建て(3階は戦争で焼失)で余った容積は大量にありました。松田さんは大学院で専門だった「ドイツで文化財保護のために使われる容積を売買する”上空権”の法律」にヒントを得、東京駅の容積率700%を500億で売ることを思いついたのです。

三菱地所にしてみても丸の内再生プロジェクト実現のため、足りない容積をJR東日本から購入すれば、東京駅はそのお金で復元工事が実現し、三菱地所は超高層ビル開発が出来るのでまさに一石二鳥です。

石原慎太郎東京都知事誕生が転機…知事が空中権売買を容認

しかし容積率を管理する東京都は当初慎重な立場を取りました。

一度これを認めれば皇居への景観配慮や副都心への分散計画がおざなりになり、超高層ビル建設に歯止めがかからなくなるからです…。

しかし事態が大きく転換したのは、1999年(平成11年)。東京都知事が石原慎太郎氏になってからのこと。

石原氏は日本の表玄関、東京の都心丸の内再生が最も重要と考え、容積の売買を容認しました。また国の法律(特例容積率適用区域制度:2000年)についても整備が完了――。

こうしてビジネスマンだらけだったオフィス街には900を超える商業施設が入り、現在のように週末や休日にも家族や子ども達が訪れる街に大変貌したのです。

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現在の丸の内

容積率の緩和は日本の他の都市へ拡大!

そして2000年(平成12年)に竹中平蔵さん(当時:経済財政政策担当大臣)主導のもと小泉純一郎総理(当時)直轄の容積率拡大特区を新設。

不良債権となった土地や建物を再開発する起爆剤として異次元の容積率緩和を後押ししたのです。(※自家発電システム・耐震設計など一定の防災技術を取りいれる条件で)

これは全国87地区に都市再生特区を指定、容積率の上限を撤廃するものでした。

都市の超高層化は地震大国日本で不利なのでは?

六本木ヒルズ(2003年オープン・建設費100億円超)を建設した森ビルの社長、故 森稔氏は阪神淡路大震災で多くのビルが倒壊してしまったことに驚きました。

それだけで無く海外の大手企業「ゴールドマンサックス」は「もし大地震が起きてもコンピュータが一瞬も止まらないビル」を日本支社の条件としたそうです。

そのため六本木ヒルズは、超高層ビルが震度7でもほとんど揺れないようなシステム(200トンのオイルダンパーを356基導入)と地下自家発電システムを構築したのです。

このこれだけのシステムは森ビルの六本木ヒルズタワーが世界で初めて実現したものだそうです。

六本木ヒルズタワーの真価は東日本大震災で証明された…

六本木ヒルズタワーの免震システムは2011年、東日本大震災でその真価が証明されました。

YouTubeなどに投稿された地震当日の映像を見てみると、付近の高層ビルはいずれもかなり大きく揺れ、棚の商品やテーブルは激しく揺さぶられて営業が全く出来ない状態となりました。

しかし六本木ヒルズタワーだけは地上250mの展望台でさえほとんど揺れず、レストランでは棚の上のグラス一つ割れなかったそうです。

さらに停電も全く無く、自家発電システムをフル稼働し東京電力に逆に電力を供給していたのです。

youtu.be

巨大開発ラッシュはどこに向かうのか?人口減少社会への不安も…

こうした最先端の防災システムや異次元の容積率緩和のため、令和に入ってからも330以上もの巨大開発プロジェクトが予定されています。

その中でも史上最大の開発が常盤橋プロジェクト。

www.mec.co.jp

開発しているのは丸の内再生プロジェクトを手がけた三菱地所です。

三菱地所のユニットリーダー、安達晋さんは現在丸ビルの3本分の面積を持つ日本最大級高さ390mの超巨大ビルを2027年に完成させようとしています。

しかし令和の時代がどんな時代になるのか全く判らない今、これだけの開発をして果たして採算が取れるのか…こうした巨大開発が遠くない未来には大きな影を落としてしまうのではないか…という不安も残ります。

今後東京のオフィス面積は大阪や名古屋に比べズバ抜けて一極集中する予測です。

少子高齢化は今以上に進み、消滅する可能性がある地区町村は896もあるといいます。

平成が終わろうとしている今、更なる開発は第2のバブルになっているのか?このまま開発を継続すべきか?立ち止まるべきか?その未来はまだ予測がつかない影の部分にあって見えないのです。私たちがかつてバブル景気の真っ只中に居た時のように…。

 

※2019年4月6日(土曜日)放送『NHKスペシャル 平成史 第6回 「東京超高層シティー 光と影」』より

 

Nスペ「平成史6・東京超高層シティー」放送終了後の反響ツイートは?

https://twitter.com/fibrinogen_yd1D/status/1114510760338579457

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