NHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」
2016年9月25日(日曜日)よる9時頃(NHK総合)放送された「NHKスペシャル 縮小ニッポンの衝撃」は、人口減少が続く日本の未来についての内容だった。
今年5年ぶりに発表された国勢調査。調査史上で初めて日本の総人口が減少に転じている。その数マイナス94万7千人。全国の自治体の8割以上で減少、最も減ったのは北海道のマイナス12万3千人。島根県では全国で唯一全人口が大正時代を下回っていた…。
人が減ることで路線が廃止され、陸路で通えない地域も出てくる。さらに図書館の廃止や医療サービスも削られ、空き家の畳にはキノコが生えボロボロとなり、猿などの野生動物が住み着いていた。
日本は、これから今まで経験したことのない人口減少時代へと突き進んでゆく。それは東京も例外ではない――。
NHKスペシャル番組データ
【放送日時】 2016年9月25日(日曜日)よる9時頃(50分)
【放送局】 NHK総合 (NHK G)
【番組副題】 NHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」
【ナビゲーター】 阿部渉(アナウンサー)
【語り(ナレーター)】 高橋美鈴
今まで経験したことのない人口の急降下
これまで人口が過剰に集中し問題になってきた東京都でも、渋谷区、品川区、目黒区、足立区、大田区など11の区でしだいに減少に転ずる…という予測が出始めている。
都内有数のターミナル駅「池袋」のある「豊島区」。現在の人口は約28万人。
豊島区の高野之夫区長は、これから減少するという豊島区の人口予測の試算を見て険しい表情をした…。
豊島区では生まれる人の数よりも亡くなる人の数のほうが上回っていたため、人口はもっと急激に減っているはずだったが、減少を支えたのは豊島区にやって来る「転入者」のおかげだった…。
しかし転入者は、20代が最も多く平均年収は240万円程度。
このまま豊島区で結婚したとしても、子どもを産み育て定着するにはこの年収では難しい。
このままだと転入者が入って下支えしても、やがて豊島区の人口は減少に転じるのではないか…と市の担当職員は予測する。
東京オリンピックによる建設需要の影響
今、東京ではオリンピックの建設ラッシュで特に警備員が不足している。
現場は地方から出てきた出稼ぎの人で一杯、そのため一時的に人口も増加した。
Nスペ取材班が、ある警備員会社の寮を取材――。
そこでは、名古屋、北海道など様々な地方からやってきた人々が一部屋4人ずつの共同生活をしていた。
日給は8,000円。地元に帰ってもこれより良い条件で働ける場がないという。一時的な滞在のつもりが長期間留まることになる人も多い。
警備会社の社長、亀田貴浩さんは「このままバイトのような形で雇い続けちゃって年取らせていいのかな?」と時々思うことがあるが、結局解決策は未だ見つからないという。
彼らのような労働者は流入する人数こそ多いが、仕事が不安定で結婚も出来ないため、家庭を持ち東京に定着することは殆ど無い。
また、こうした人々がもしも子どもを持たずにそのまま豊島区に定着した場合には、高齢者介護に関する負担は増すばかりだ…。
豊島区「人口減少」の未来予想図
- 2020年 …「東京オリンピック」
- 2020年 …「人口減少へ転じる」
- 2028年 …「税収減少へ転じる」
- 2035年 …「社会保障費50億円増で豊島区財政不足」
- 2060年 …「財源不足100億円超」
この調査を受けて、豊島区の高野之夫区長は「何もしなかったら本当に財政破綻、消滅への道を辿ってしまう。日本を代表する都会であっても従来の行政サービスを提供できない。」と危機感をつのらせた。
豊島区の危機は東京全体の危機とも言える。同様のことが東京のあちこちで発生し、日本は将来立ち行かなるかもしれない…。
【ケース1】北海道夕張市の「撤退戦」
最盛期には11万人が暮らしていた北海道夕張市。現在の人口は9千人以下。
いま、夕張市ではいかに行政サービスを削ってゆくか「撤退戦」が続いている。
市の職員が公営の住宅などをまわり、本当に危険な部分だけをチェックして周る。
そしてこの「撤退戦」を見学するため、様々な地域から担当者が訪れていた…。
見学者たちは将来の(自分の地方の)財政破綻に備えるため、既に財政破綻の状況ある夕張市で、どこまでサービスを削れるのかを見に来ているのだった…。
夕張市でこれまでに廃止・縮小したもの
夕張市ではこれまでに…
- 公園 ⇒ 廃止
- 図書館 ⇒ 廃止
- 医療機関 ⇒ 縮小
などを廃止してきた。これからも町のインフラは廃止や縮小が相次ぐ。
夕張市長の手取りはなんと15万8千円…
現在も350億円を超える借金を返済するため、夕張市の鈴木直道市長(35歳)が先頭をきって指揮している。
鈴木直道さんは、5年前東京都の職員を辞めて市長となった。市長の給与は、月221,692円(総支給額259,000円)。
手取りは、なんと15万8千円。
その中から、公務に必要な交通費なども自腹で支払っていた…。
住人が少ない市営団地の年間維持費が年間約3,000万円
市内の市営団地「清陵団地」(清水沢清陵町)は、最盛期に1200世帯が暮らしていたが、現在260世帯。
市営団地は、一世帯でも住んでいれば団地全体を維持管理する必要があるため大きなコストがかかっている。
- 団地の敷地内を行き来する4つの橋の維持管理 … 年間約560万円
- 15箇所に点在する浄化槽 … 年間約2,300万円
- (夕張市全体で)水道管や道路の維持費 … 年間約17億円
夕張市はこうした出費を防ぐため、清陵団地の全ての部屋を「政策空き家」に指定して、新しい入居を抑え、団地内の転居なども出来ないようにした。
住民全員が出ていった建物から順次団地棟の取り壊しを進めている。
そうして出てゆく人を増やし、最終的に4棟程度の人数となった時を見計らい一気に集約を図ろうとしている。
夕張市の「撤退戦」は、決して他人事ではなく他の自治体でも始まろうとしているのだ…。
【ケース2】島根県飯南町「住民組織」の取り組み
住民の家々を巡回するバス。かつてこのバスは町が運営していたが、採算が合わず現在は、住民が交代でバスを運転している。
住民はそれぞれ仕事を持っているため、負担といえば負担だがやっていくしか無いと言う。
島根県雲南市では、2005年に財政非常事態を宣言。職員を2割減らした。少子高齢化も進み将来的にも税金が増える見込みもなくなった。
そんな中で雲南市では「住民組織」を立ち上げ、国からの借り入れの交付金をその住民組織に渡しその地域のサービスは「住民組織」で行うシステムを組み上げた。
こうすることで、今まで役所1箇所で行っていたサービスを各地域に分散させることが出来る。
住民組織のメンバーが、水道メーターの検針をしたり同時に住民の健康状態をチェックしている。(問題があれば保健師に知らせる等)
ただし住民組織システムを立ち上げて10年あまり、住民組織メンバーが相次いで亡くなるなど人手も年々減り次第に住民からの悲鳴も聞こえてきた。
雲南市では、「もしも住民組織が成り立たなくなれば、その時には住民の方たちでサービスが消滅することも含めて考えてもらう」もちろんサービスが無くてもかまわないという選択肢もあるという。選択肢を選んだ住民の方たちで対処法までを考えてもらうと話した。
雲南市の住民組織リーダーは、島根大学の作野広和教授(20年間人口減少にあえぐ集落について研究)に依頼し、これからの「住民組織」のあり方についてアドバイスを求めた。
その方法とは、維持管理が難しい地帯を切り捨て管理がし易いように居住地を一箇所にまとめてゆくという案。
しかし、人様の財産である土地に深く分け入りたくないと、住民組織のリーダーは反発。
作野広和教授は、だが今やっておかないとますますこの地域は人が住みにくくなり人が出て行きさらに人口減少が拡大して行政サービスは全く受けられない状態になると話した。
島根県では、今も新しい「住民組織」が誕生し続けている。
また、日本全国にも住民組織はあり、その数1600以上。国は今後4年で3000に増やそうと計画中だ。
そんな中 北海道夕張市での新たな一歩
夕張市の中学生が他市の高校に進学する割合が7割にも上っていた。
図書館が廃止されるなど地元にこれ以上将来を描くことが出来ない中学生たちのほとんどが、早く夕張市を出たい!と考えていることが判明した。
これを受けて、夕張市唯一の高校「夕張高校」が市長に嘆願。
また、40年前に建てられた保育園も老朽化が進み、耐震基準も満たしていない。
鈴木直道市長は、限られた財源から色んな方向を見なくてはいけないため財源のバランスをとるのが難しいと話す。
そんな中、今年鈴木直道市長は決断。夕張高校では、資格取得や進学を目指す子どもたちの後押しを薦めることにした。財源はふるさと納税の寄付金を使っている。全国に呼びかけてなんとか予算を集めたと言う。
既に地方都市だけの問題ではなくなってしまった…
地方から東京へ人々が流れ込むことで、富を生み出し反映を築き上げてきた日本。しかし急速に進む人口減少はこのモデルさえも通用できなくしつつある。
すでにこの問題を後回しには出来ない状況になっているのだ…。
(※動画はNHKオンデマンドにて視聴可能です)
(以上「反響要約「NHKスペシャル 縮小ニッポンの衝撃」▽【2016年9月25日(日)放送反響ツイート集】」)
NHKスペシャル反響ツイート
NHKスペシャル『縮小ニッポンの衝撃』、冒頭に人口減少の原因について、「年収200万円じゃあ子供なんてつくれませんね」と説明されているのに、それへの対策は一切なく、人口減少の続く夕張や島根の農村の様子を紹介して、これからどう耐えるか?の話に持って行った。アカン ( ゚д゚)
— ano_ano (@ano_ano_ano) 2016年9月25日
NHKスペシャル『縮小ニッポンの衝撃』で一番衝撃だったのは、豊島区の人口年齢分布分析で暗に指摘された部分だった。具体的に言うと、結婚しない(できない)であろう現在の若者がそのまま区に住み続けると、数十年後には、区の社会保障財政を食いつぶす存在になるであろうと指摘する箇所だった。
— 心太丸 (@hiroshi0083) 2016年9月25日
NHKスペシャルの縮小ニッポン。話としては当たり前のことだが、むしろ、日本人が気づかなかったのは、国全体としてみるとき、外国から若い移民を受け入れて、彼らもまた一定の上昇ルートに乗せて日本社会の一員にしなければ、日本の将来の発展はないこと。だがもはや手遅れだろう。
— masanorinaito (@masanorinaito) 2016年9月25日
そういえば今日やってたNHKスペシャルで人口減少のお話をやってたけど、結局10代20代が煽りを食らってる気がする。あんまり「被害者意識」を持って生きてちゃいけないんだろうけど…
— するめ (@surume774) 2016年9月25日
“@Tadano_Ningen: もう、自治体や個人で出来ることは滅びのスピードを段階的に抑えることだけ。
— くろねこのたんこ゛ (@kokimoto0905) 2016年9月25日
どうにかできるのは、政府しかいないんだよな・・・#NHK #NHKスペシャル”そうでもない!若い人ひとり、ひとりが日本人だと自覚した時から再生が始まる。それまで待とう!
昨日のNHKスペシャルの「縮小ニッポンの衝撃」。これが現実である。人口が減少が激しい市町村では住民サービスの維持のために生活圏の縮小を余儀なくされている。役人がやっていたことを住民自身が担わなければならない。首都圏では未だ人口が増えてはいるが移転者による人口増だ。
— 四方山サザン (@yomoyamasazan) 2016年9月26日
NHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」
— ろっち@サラリーマン (@salamatpoPH) 2016年9月26日
大正時代より人口が少なくなった島根!
ほんと衝撃です
昨日から、『NHKスペシャル』に対する「縮小していく現状とみらい、それを耐える生活」という構成に批判はあるけれど、あれは「危機の実感が無い層、無縁で居られる層」、「200万の生活がイメージ出来ない層(ロビンソン・クルーソーの生活って文明人から見ると楽しそうでしょ?)」向けかなと
— 高橋「ホーキング」けんじ(CV:高橋けんじ) (@Q47SM9) 2016年9月26日
昨日の #NHK スペシャル見ていても思ったんだが、本当に何もする事を持たずにただ老いていくという高齢者か多いのな。あの番組が鬱々とするのは、何かしたいからこうする、ではなく、ボロボロに朽ちた過去を必死でつなぎとめようとする様なのよ。
— ⚔🛡ええなさん🐷💴💉 (@WATERMAN1996) 2016年9月26日
昨日のNHKスペシャル、公共のサービスが持続できなくなり住民がそれを肩代わりするというのがあったけれど皆が疲弊するし持続可能に思えない。まさに自動運転車とかのロボット案件と思ったけれど実現したとしてそれも導入コストとかで何ともならなかったりするのかのー
— omanuke (@omanuke) 2016年9月26日
6畳の部屋に他人と4人暮らしで、非正規雇用の交通誘導員。その暮らしが何年も続く。そしてそこから抜け出せない、抜け出せる見込みさえない❝地獄❞。この映像を見て、この人たちよりはマシだと感じて一時の安心感を得る視聴者たち。#NHKスペシャル #人口減少
— 子猫 (@sirokurokoneko) 2016年9月26日
昨日の番組②。一方、NHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」は、割と知られている事実の羅列に留まり深掘りできてなかった。手を打っても地方は消滅する、という番組の流れだったが果たしてそうか。番組で取り上げた地区の厳しさを明らかにしたことは評価するが、それが全て他の地区に当てはまるのか
— 和田 政宗 (@wadamasamune) 2016年9月26日
昨日のNHKスペシャル『縮小ニッポンの衝撃』で色々と削減や縮小を行っているのを見たけど、会議用に用意した大量の紙資料を止めたらもう少しスマートになるんじゃないかな。と思ったが。。。
— DJ ken-ken (@DJken_ken) 2016年9月26日
母と年金の話しをしながら昨夜見たNHKスペシャル「 縮小ニッポンの衝撃」の衝撃を思い出してぞっとした。地方はすでに人口減少を伴う高齢化により疲弊。東京もオリンピックの2020年を境に人口減少に転ずるという。豊島区が調査した20代単身者の平均年収は240万円。これでは結婚できない.
— 貝沢伸一 (@chamkyshinchan) 2016年9月26日
30年前からこうなるのはわかってた。人口予想なんてよっぽどのことがない限りは大きく外れることはないのだから。でも未だに根本対策から背を向けているこの国。
— ゆーすけ (@yoox5135) 2016年9月26日
NHKスペシャルの「縮小ニッポン」の衝撃の内容に、絶望の声が相次ぐ https://t.co/qcseSOilYC
当ブログのNHKスペシャル関連記事
NHKスペシャル関連グッズ
夕張再生市長 課題先進地で見た「人口減少ニッポン」を生き抜くヒント
- 作者: 鈴木直道
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/10/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (2件) を見る