キラーストレス2「マインドフルネス」
2016年6月19日(日曜日)午後9時から放送された「NHKスペシャル」は、キラーストレスのシリーズ第2回。
うつ病を引き起こすキラーストレス。学校や大企業、刑務所で使われ始める「メディテーション(マインドフルネス)」。このトレーニングでは脳の機能まで変えるという。また宇宙飛行士の古川聡を迎えその画期的なストレス対策について最新の科学的研究を紹介。
キラーストレス2番組データ
【放送日時】 2016/06/19(日曜日)午後9時(50分)
【放送局】 NHK総合
【番組副題】 シリーズ第2回 ストレスから脳を守れ
【スタジオゲスト】 林修 小島瑠璃子 高須光聖(放送作家) 古川聡(宇宙飛行士)
【スタジオゲスト専門家】 熊野宏昭(早稲田大学人間科学学術院)教授
【語り】 中條誠子
目に見えないストレスがどうやって心を蝕むのか?
大手家電メーカーに努めていた、堀北裕司さんは、14年前うつ病になった。
当時お客様相談室でクレーム処理を4年間担当、時には4時間罵倒されることもあり、いつの間にか笑えなくなり気分が落ち込む。ついにうつ病を発症した。
そのメカニズムは以下のようになる。
- 恐怖や不安を感じる
- 脳の「扁桃体」に信号が伝わる
- おへそ辺りにある「副腎」からストレスホルモン(コルチゾール)が出る
- ストレスホルモン(コルチゾール)は「心臓の拍動を早める」
- 血圧が上昇するなどのストレス反応がでる
- コルチゾールは、最終的に脳で吸収される
- コルチゾールの脳への吸収が高まる
- 脳の一部を破壊
- うつ病となる
アメリカアリゾナ州立大学(シェリルコンラッド教授)では、ネズミの実験でストレスを与え続けることで脳の海馬が破壊される事を突き止めた。海馬は記憶や感情をコントロールしている。
脳にあふれた「コルチゾール」が原因となり、海馬の神経細胞にダメージを与えていたのだ。
功刀 浩(国立精神神経センター)教授によれば、うつ病の人の海馬は小さく萎縮しているとMRI画像で示した。
そもそもストレス反応とは?
そもそもストレス反応とは、太古の昔私達の祖先が危険から身を守るために身につけたもの。
突然の出血により血が固まり安くなるようにしたり、心臓の拍動を早めより素早く動けるようにしたりして生命の危機に対して準備できるようにするメカニズムだった。
昔は、ライオンなどが現れた時だけストレス反応をしていたが、現代は人間関係や通勤ラッシュのストレスなど常に複数のストレスに晒されている。
マインドワンダリング(心の迷走)
さらに、「マインドワンダリング(心の迷走)」と呼ばれる、過去や未来を想像して心配する機能も備わっている。
ロックフェラー大学の、ブルースマキューアン教授は、人間があれこれ考えてしまうのは人間の特徴的な機能だが、それが原因で心を蝕まれることもあるという。
2種類のストレス
スタジオゲストの熊野宏昭教授によれば2種類のストレスがあるという。
- 「頑張る」ストレス(仕事のノルマに追われ続ける) … 心臓血管系など「体」の反応(アドレナリンが出る)
- 「我慢する」ストレス(嫌な上司と毎日) … 落ち込み・不安など「心」の反応(コルチゾールが出る)
現代の人間は、スマホネットなどの普及で常に脳が何かしら考えている状態。ずっとストレスホルモンを出していると熊野先生。
ストレスに強い人弱い人
(VTR出演:友田明美教授(福井大学・ハーバード大学))
ハーバード大学では、子供の頃強いストレスを受けた人の脳に30年後どのような変化が現れたか研究を行った。
その結果、子供の頃強いストレスに晒された人は、脳の「扁桃体」が大きくなる事がわかった。
「扁桃体」が大きくなると小さなストレスでも大げさに反応するようになる。
些細な刺激で反応してしまうのは小さい時期の影響が大きい。
その他にも「遺伝(体質)」「生活習慣」「考え方のくせ」などの要因がある。
ストレス対策について
究極のストレスがかかる「宇宙飛行士」という人々について。
JAXAでは、宇宙航空医師がストレス対策を専門に研究している。日本に10人しかいない、宇宙航空医師総括医長の緒方克彦先生が解説した。
コーピングとは?
- あらかじめストレスがかかった時の気晴らしをリストアップ … 音楽を聞く、読書など些細な事でOK。なるべく数多くリストアップ
- ストレスが掛かるたびに … 気晴らしリストの中から何か実行する。気晴らしが成功したか判断し不成功の場合はさらに気晴らしを実行する
このように、「あ、今ストレスを受けた」「気晴らしが確かに効いている」など自分のストレスを意識的、徹底的に繰り返し観察し対策する。これがコーピング。
宇宙飛行士は、一見宇宙と関係ないもの(ギター、ボールなど)を持込むのは、コーピングをするためのストレス解消法の一環だった。
ちなみに宇宙飛行士、古川聡さんが気晴らしに選んだのは、「地球を眺める」「家族のインターネットで会話する」「一人宇宙野球」だった。
閾値下うつとコーピング
(VTR出演:岡本泰昌(広島大学准教授))
広島大学では、うつ病の予備軍「閾値下うつ」の人にコーピングに似たテストを実施した。
気晴らしリストに点数を付け、客観的にわかるようにし、どんな行動が気分を変えたかを記録し点数の高い行動を繰り返し実行するようにした。
例えば、ある被験者の弥生さん(女性)は、散歩をすると気晴らし効果が高いことがわかり意識的に外出することであまりストレスを感じなくなったという。
すると、どんどん他にもやりたいことが出てきたという。
自分のストレスをしっかり認知して対策を行うと、前頭葉(認知する部分)が活性化し扁桃体の活動を抑制することがわかった。
コーピングのための気晴らしリスト
- 木に触れる … 木に抱きつく木にそっと触れるなどためしてみると意外に効果がある
- 歌をうたう
- 空を見る
- ステーキの写真を眺める
- 肌触りの良いタオル
- 女性誌を見る
- お気に入りのTシャツを着る
- 自分へのラブレター
- 炭酸水
- 身だしなみを揃える
- 歯磨き
- 睡眠
- 愚痴っても良いんです
- 叱っている上司のほくろを数える
- 「やってらんねーな!」と心でつぶやく
- やることリストを手帳にメモ
- 今日の昼を考える
- 宝くじがあたったと妄想
- 7億円で何をするか妄想
- 空を見て雲の動きを観察
- 鶏の唐揚げでビールを飲む
- 古い映画を見る
- 猫の匂いをかぐ
- 土日の少しだけの寝坊
- 墓参り
- 初恋を思いだす
- 三国志を頭のなかでたどる
- 「イチロー選手」なら今どうする?と考える
- 雨音を聞く
などなど。とにかく気晴らしのチャンネルを増やす。自分のストレスを認知することが大切。
コーピングについてもっと詳しく
企業でもストレス対策を教えている専門家、臨床心理士の伊藤絵美さんがスタジオに登場。
まず、自分のストレス対策を書き出す。
- 小島瑠璃子 … 美味しいものを食べる。寝る。音楽を聞く。ペットをなでる。運動をする。料理をする。
- 高須光聖 … 幸せだなぁと思う。干した布団の匂いをかぐ。炊きたての御飯の匂い。温泉へ。子供の寝顔。夏休みに一気に本を読む。
- 林修 … 何もしないと決める。酒。競馬。読書。
- 古川聡 … よく眠る。運動する。好きな食べ物。飲み物。笑う。仕事以外の雑談。読書。音楽。
なるべくたくさん(100個)位用意すると良い。
大注目「マインドフルネス」とは?
アメリカで大企業や学校、刑務所がメンタルヘルス対策として取り組んでいて、アメリカストレス学会もストレス対策の柱として推奨している。
http://www.apa.org/helpcenter/manage-stress.aspx
正式名は「マインドフルネスストレス低減法」という。
マサチューセッツ大学医学部で誕生した。
サキ・サントレリ教授が瞑想にまつわる宗教的な要素をすべて排除した、心理療法を開発。
- 体の力を抜き 背筋を伸ばして座る
- 体と呼吸に意識を向け、その様子を感じる(お腹が膨らんだり平になったり棟がゆっくり上がったり下がったりと動きを感じることに集中)
- 浮かんできた雑念は考えない
- 今の瞬間の体の動きだけを感じる
- 毎日10分程度から始める
「今」に注意を向けることが主な効果。過去や未来の想像がストレスを再生産しているため、今に注意を向け記憶や想像でストレスが増幅するのが止まるため、脳に嬉しい変化が起こる。
マサチューセッツ大学では8週間のプログラムで海馬の萎縮が回復したり、扁桃体が小さくなる(ストレスへの過敏反応が小さくなる)などの効果が見られた。
(ただしうつ病で治療中の場合はかかりつけ医と相談する必要がある)
マインドフルネスのやり方
熊野さんによる10分間のマインドフルネスのやり方が紹介された。
- 体を揺すって体がまっすぐになる位置を探す
- 肩の力を抜く
- 目を軽く閉じる
- 顔の力も抜く
- 呼吸に意識を向ける(呼吸の長さを意識でコントロールしない)
- 自然に入って出て行く呼吸だけをただ見守る
- 息が入ってくると「膨らみ膨らみ」出て行くと「縮み縮み」と心で唱える
- 体がしたいように呼吸をさせてあげる
- その呼吸を観察(2分位)
- だんだん湧いてくる雑念を考えない
- 今いる部屋の空気の動きや、部屋の広さなど空間に意識を広げる(7分位)
- だいたい10分位で目を開けて終わる
禅やお茶、武道などの日本文化はすでにこうした瞑想法を備えていると熊野さん。
生活の中に、瞑想をする時間を取り入れるだけで十分に意識が改革される。
キラーストレス反響ツイート
マインドフルネスはストレスで萎縮した海馬を回復し扁桃体の過敏な反応を抑えることが期待できる。これはすでに実感。私の場合ヨガが入り口だった。宗教でも武道芸能でも、感覚を得られればなんでも。ストレスはがんばりで解消できない。脳という臓器が病む前に意識改革という対策を。#キラーストレス
— germination (@gene_eu6) 2016年6月20日
昨日のキラーストレスの話。
— kskao (@kskao1) 2016年6月20日
ストレス解消になることをリストアップして、こういうときにはコレって自分で意識的に気晴らしすることを心がける。この意識して、ということが重要らしい。
そうすると脳の偏桃体が減少して、海馬の一部が増加すると。
ベトナムの禅僧でマインドフルネス瞑想の生みの親であるティク・ナット・ハン師の言葉を紹介しています。https://t.co/a6BxLhjKqr
— 稲葉了山 (@InabaRyozan) 2016年6月20日
→他者や環境に働きかけて、ストレッサーそのものの改善を図るのもコーピング。その時々のストレッサーやストレス反応をモニターして(モニターだって立派なコーピング)、最適なコーピングをマッチングして、やってみて、結果を検証することが重要なのです。「自覚的な自分助け」ということ。
— 伊藤絵美 (@emiemi14) 2016年6月20日
https://twitter.com/KOJIMAX_ARMY/status/744730959346532352
午前中の打ち合わせが終わった。
— うえきちω (@uekichi) 2016年6月20日
昨日の #NHK スペシャルはキラーストレスという話題だった。ストレスを溜めないように気をつけるようにということ。過去にあった嫌なことを思い出して、これから起こる嫌なことを想像してしまわないように。よくやってしまうから、これから改めていこう。
たとえば職場があまりにもストレスフルな場合、やるべきことは従業員が気晴らし的コーピングをすることでなく、ストレスフルな職場環境自体を変えるということ。そういう発想がないと、コーピングという概念はストレッサーである環境によって都合よく使われてしまう。
— 伊藤絵美 (@emiemi14) 2016年6月20日
https://twitter.com/_______noblesse/status/744738388062801920
お医者さんと昨日のNHKのキラーストレスの話になったけどあれは医者の間でもある程度コンセンサスとれてる話らしいので帰ったら録ったの見よう
— おやりわ (@oyariwa) 2016年6月20日
比企谷八幡「過去を思い出せば後悔で死にたくなるし、未来を考えれば不安で鬱になるから、消去法で今は幸福って言えるな」
— 太朗丸(桃) (@tarotaro10096) 2016年6月20日
これ、昨日NHKスペシャルでやってたコーピングとかマインドフルネスとかと通ずるところあんじゃん?
2日連続でNHKスペシャル「キラーストレス:そのストレスはある日突然死因にかわる」が放送された。最新の脳科学や分子生理学の研究で「キラーストレス」とでも呼ぶべきストレスの存在が明らかになった。その対策は「運動」と「マインドフルネス」である。ストレスには「良い習慣」が最も効果的だ。
— 大阪学校生活協同組合 (@trip8175) 2016年6月20日
NHKスペシャル 「キラーストレス」
— ゆりりん★特定社会保険労務士☆ラフターヨガ (@YNRIN) 2016年6月20日
を観て思ったこと、考えたこと。
アメリカ心理学会の提唱するストレス対策より
1、ストレスの原因を避ける
2、運動をする
3、スマイル&ラフ(smile&laught)
4、サポートを得る
5、マインドフルネス
があるという。
マインドフルネスとヴィパッサナーは似てるよね。ヴィパッサナーはハフポストの記事では「無になる」つってるけど、ほんとは違うくて「観察する」瞑想なのよ。まずは呼吸に注意むけて。どの方法にせよ、瞑想は心の重心が下がってしっとり落ち着いていくよ。レッツしっとり!
— 跡地🍻 (@heal_bog) 2016年6月20日
NHKスペシャル「キラーストレス1,2回」を見た。対策:運動、コーピング、マインドフルネス。ほとんどお金が要りません。
— 時に目を覚ます隠居 (@pietmusashi) 2016年6月20日
これはいいです。皆さん、見てください。健康で働いてください。健康で長生きしてください。健康が、国家財政を健全化させます。いいことばかりです。
命をも奪いかねない、「キラーストレス」から身を守る習慣は。
— ruri (@ruriria8) 2016年6月20日
◆運動
◆コーピング
◆マインドフルネス (瞑想?)
NHKスペシャルより
マインドフルネスって、瞑想と違うのだろうか、調べてみよう
コーピングが一番、入りやすい
土曜日曜と2日続けて放送されたNHKスペシャル「キラーストレス」のスタジオ演出、お手伝いさせて頂きました。20年来の付き合いがあるK-MAXの小西プロデューサーからの依頼でしたが初めてのNHKさんでのお仕事、貴重な経験させて貰いました。また機会あれば異種格闘技戦やりたいです笑。
— 佐々木敦規 (@atsunorisasaki) 2016年6月20日
NHKスペシャルより、キラーストレスの軽減に運動と昨今良く耳にするマインドフルネスが有効とのこと。韓氏意拳は武術であるが、自身の今に(今の状態、変化に)注目する稽古となるたの同様の効果があると。再放送もあるみたい。 https://t.co/4DlthY6X6q
— N-Tenshi🐾 (@NBnsd1DNxupQTfk) 2016年6月20日