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反響要約「NHKスペシャル がん治療革命が始まった~プレシジョン・メディシンの衝撃」▽日本でも始まった遺伝子解析による精密医療ほか【2016年11月20日(日)放送内容】



NHKスペシャル「がん治療革命」

2016年11月20日(日曜日)よる9時から放送された「NHKスペシャル」は、 がん治療革命が始まった~プレシジョン・メディシンの衝撃について。

癌の遺伝子解析と分子標的薬などの新薬を駆使し進行した大腸がんを4割縮小、余命2年と宣告された肺がんを1ヶ月で縮小…など今、がん治療の革命が始まっている。従来と全く違う精密な医療=プレシジョン・メディシンについて紹介された。

NHKスペシャル番組データ

【放送日時】 2016年11月20日(日曜日)よる9時(50分)
【放送局】 NHK総合
【番組副題】 ”がん治療革命”が始まった~プレシジョン・メディシンの衝撃
【語り】 新井秀和
【出演】 原千晶(42歳・30代で子宮頸がん、子宮体がんを経験) 間野博行(国立がん研究センター研究所腸・東京大学大学院教授。肺がんの原因遺伝子の一つを発見した)

プレシジョン・メディシン(精密医療)とは?

プレシジョン・メディシンとは、がん細胞の遺伝子解析を元にその人にピッタリ合った新薬を投与して治療を行う新しいがん治療のこと。これをPrecision-Medicine「精密医療」と呼ぶ。

アメリカではオバマ大統領がプレシジョン・メディシンを国家戦略と位置づけ「医療に大躍進をもたらす」と評価。80億円の予算を投じアメリカ2000の病院で大規模臨床試験をすでに実施している。

日本でも全国235の病院と15の製薬会社が集まって、プレシジョン・メディシン(精密医療)を推進するため動き出していた……。

リンパ節に転移した髙橋さんの場合

髙橋康一さん(48歳)。

彼は進行した大腸がんと戦っている。毎日5kmのジョギングを欠かせない。とても元気で一見してがん患者とは思えない。

髙橋さんは22歳でガンを患い、これまでに5回の手術と抗癌剤治療を受け、その度に再発を繰り返した。

さらに今年(2016年)5月には大動脈リンパ節に転移が見つかった。

医師からは「今度は手術をすることはできない」と宣告され、臨床試験に参加することに……。

国立がんセンター東病院(千葉県柏市)にて治療を受けた所、最初の2ヶ月のCT検査で癌が4割も小さくなっている。

「臨床試験がなければ通常の抗癌剤治療を受けて今頃苦しんでいる。ジョギングどころではないことを考えれば非常に感謝している」と話した。

髙橋さんの治療法は?

髙橋さんが臨床試験で使用しているのは免疫チェックポイント阻害剤

さらに、分子標的薬も使用している。

この2つの薬は全く違う仕組みの薬だが、髙橋さんのがん遺伝子を解析し組み合わせて使うことで大きな効果が得られると言う。

要約「チョイス@病気になったとき 肺がん治療最新情報」▽「(免疫チェックポイント阻害剤)ニボルマブ」詳細ほか【2016年7月2日(土)放送内容 NHK Eテレ】 - yonta64のテレビ番組ブログ

スクラム・ジャパンプロジェクトとは?

この新しい臨床試験を薦めているのは、スクラムジャパンというブロジェクト。

国立がん研究センター東病院を中心に全国の医療機関と製薬会社が協力する大規模なプロジェクトで全国235の病院と15の製薬会社が参加している。

  • 対象は? … 進行した大腸がんや肺がんの患者で従来の治療法が効かなかった人

国立がん研究センター東病院の後藤功一 呼吸器内科長(SCRUM Japan研究代表)は、プレシジョン・メディシンでそれぞれの患者さんに合った適切な治療薬を使うことにより今までの倍以上の生存率に繋がっている。プレシジョン・メディシンは、今後医療の進歩に貢献するだろうと話した。

進行肺がん「瀬原進さん(69歳)」の場合

瀬原さんは、進行した肺がんがあり、すでに骨や肝臓に転移が進んでいる。

抗がん剤の効果はなく、国立がん研究センター東病院で臨床試験をスタート。

まず、がん細胞を取り出し遺伝子情報を「次世代シーケンサー」を使い解析(検査会社:エスアールエル)する。

肺がんが出来る仕組みとは?

人間の細胞には2万余りの遺伝子がある。

もともと正常だった遺伝子に傷ができ「遺伝子変異」が起きる。例えば肺がんの場合は「EGFR」「ALK」「ROS1」「MET」と呼ばれる遺伝子に遺伝子変異が起きることが解っている。

さらに、同じ肺癌患者でもEGFR、ALK、ROS1、METの4つのうちどの遺伝子に異変が起きているのか患者によって違うこともわかってきた。

分子標的薬によってタイプ別に攻略する

遺伝子解析によってそれぞれタイプの異なる肺がんのタイプを見極め、それぞれに合致した分子標的薬を投与することで、その肺癌患者に最適な治療を実現できるのだ。

従来の抗癌剤治療の場合、通常3割に効果があるがプレシジョン・メディシン(精密医療)による治療の場合はおよそ7割という高い確率を得られる。

大野さとみさん(48歳)の場合

プレシジョン・メディシンによって分子標的薬の型が見つかり命を繋いでいる人が居る。

大野さとみさん(48歳)。

ステージ4の進行した肺がんで手術はできず、余命は2年と宣告された。

4種類の抗癌剤を試したが効果は得られず遺伝子解析を薦められ臨床試験をスタートした。

がん細胞を解析すると「RET遺伝子」というタイプの癌細胞であることが判明。

肺がん用の薬は存在しないが、甲状腺がんと同じタイプのがん細胞だったため甲状腺がんのために開発された分子標的薬を”肺がんに”投与。

その結果、たった1ヶ月で癌が68ミリから48ミリに縮小。2ヶ月後にはさらに小さくなった。

大野さんは「ありがたい。このままガンが消えてくれれば…。」と笑みをもらす。

主治医の、里内美弥子先生(兵庫県立がんセンター 呼吸器内科部長)は明らかに小さくなっているので間違いなく効いていると話した。

大野さんは、当初2年と言われた余命を大幅に超え、今年(2016年)で5年目になる。

国立がん研究センター東病院の、後藤功一先生は「臓器ごとのがん治療でなく、遺伝子解析によるがん細胞のタイプごとの治療を実現させるのが”プレシジョン・メディシン”の基本だ」と語る。

しかし、その後大野さんは”心臓の横のリンパ節にガンの転移”が見つかった。大野さんは次の臨床試験に参加し、新しい分子標的薬を試すことになった。

手術に勝るガンの治療法はない?

まさに夢のような治療法だが、現在でも治療法の最前線は「手術」だという。

手術が出来る場合は、手術に勝る治療法はないというのは現在も変わらない。

あくまでも「プレシジョン・メディシン」は、手術による治療ができない場合にのみ使用される。

抗癌剤治療に代わるもので、これまでの「使ってみなければ分からない・副作用が大きい」抗癌剤治療をより正確に判断しようとという動きだと言う。

また、分子標的薬も万能ではなく重篤な副作用が出る場合がある。

さらに、遺伝子解析で見つかる遺伝子変異のうちまだ見つかっていない遺伝子については治療が難しい。(肺がんの遺伝子変異はEGFRとALKがもっとも多く50%強程度。次いでKRAS,MET、ROS1、RETが30%。あとの20%程度は不明)

プレシジョン・メディシンを受けたい場合の手順は?

患者のガンが手術不可能で、抗癌剤治療も効果がない場合は、プレシジョン・メディシンを受けたいと希望があればまずは「スクラムジャパン」に参加する病院を受診する必要がある。

SCRUM-Japanについて | 先端医療開発センター NCC-EPOC

http://epoc.ncc.go.jp/scrum/

自費診療実施「北海道大学病院」

また、自費診療では「北海道大学病院」などの大学病院でも行われる場合がある。

北海道大学ではプレシジョン・メディシンを取り入れている。

ただし保険が効かないため、検査費用だけで40万円から100万円必要になる。これまで29人に効果が期待出来る薬を紹介してきた。

58歳の子宮体がんの患者さんは、保険適用外のため毎月の薬代は90万円に上っている。

分厚い札束を数え病院の受付で支払う水野さん。

「何時も病院に来る度に高いお金を払っているから主人に申し訳ない」と水野さんが語る。

北海道大学病院、癌遺伝子診断部の林秀幸先生は「効果が大きい例であれば資金的な補助制度が出来ることが望ましい」と話す。

現在厚生労働省、PMDA(医薬品医療機器総合機構)でも臓器別に認可していた保険適用を遺伝子別に認可する準備も整ってきているが、日本人で有効性が確認できない限り保険を適用する事はできないと言うのが現状だ……。

一方プレシジョン・メディシンを推進するアメリカでは?

2015年1月、アメリカではオバマ大統領が、プレシジョン・メディシンを今後の医療の柱とする政策を発表。

すでに全米に広がっていて、癌専門の遺伝子解析センター(ファンデーション・メディシン社など)も多く稼働中でその数年間4万人。

https://www.foundationmedicine.com/

ファンデーション・メディシン社のデイブ・ダリー最高賞無責任者は「今や我が社の解析サービスは大都市から地方まで全米に広がっている。地域の小さな病院が最大の顧客だ」と話す。

すでに1万3千人を超えるがん患者の癌遺伝子診断をしていて、この大規模なデータベースから新しい癌の遺伝子も発見され薬の開発も進むと言う。

メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの、マークラダニー博士は「1000人のがん患者でわからないことも、13,000人のがん患者からの解析なら見えてくる」と話した。

膨大なデータの蓄積とプレシジョン・メディシンの進展でジャズシンガー、メアリーアン・アンセルモさん(60歳)のように、脳腫瘍「グリオブラストーマ」のような従来諦めなくてはならなかったがん治療に対しても延命の効果が出てきている。

www.npr.org

次世代の「プレシジョン・メディシン」とは?

さらに、アメリカでは次世代の「プレシジョン・メディシン」も始まっている。

IBMが開発した人工知能「ワトソン」を使い成果を挙げているというのだ。

ノースカロライナ大学のウイリアムキム博士は「人工知能を使って人間が見つけられなかった膨大な遺伝子の組み合わせと同じく膨大な約2300万件の論文から異常のある遺伝子を特定できた。」と話す。

ビッグデータは非常に複雑で、人間では対処できない。将来的には人間が解決できない複雑で膨大なデータには、AIが導入され答えを出してくれるかもしれないと話した。

膨らみ続ける医療費の抑制に効果あり?

プレシジョン・メディシンをアメリカが推進するのは「膨らみ続ける医療費の抑制」への期待があるからだという。

それは分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤「ニボルマブ」の価格が高いこと。

例えば、ニボルマブは一人あたり年間1,600万円もかかる。

効果が期待できない薬に膨大な医療費を使うよりも、プレシジョン・メディシンによって効果の期待できる薬にピンポイントで医療費を投資したほうが遥かに節約になる。

遺伝子解析を受けた「瀬原さん」の結果は?

番組前半に登場した、瀬原進さん(68歳)の解析結果が知らされた。

しかし残念なことに薬が存在する遺伝子変異が見つからなかったという。

「少しでも明るい結果が聴きたかったがしょうがないですね」と奥様。

このようにプレシジョン・メディシンを行っても遺伝子に合致する薬に出会う人がいる一方で、現状では標的に出来る薬がない人も居る。

北海道大学病院では薬がない患者さんには、メディカル・コンシェルジュ(佐藤千佳子先生)が寄り添い不安になる患者さんを励まし患者さんとつながってゆく。

たとえ今薬がなくとも将来新しい分子標的薬が見つかる可能性があるからだ……。

実際に、薬がないと諦めていた患者さんに3ヶ月後新しい分子標的薬が見つかった事例もあるという。

スクラムジャパンでのデータ蓄積の取り組み

スクラムジャパンでは、今現在もビッグデータを蓄積している。

それは新しい分子標的薬を開発するため。

薬が見つからなかったとしても、そのデータは新しい薬を生み出す為のデータとなる。

治療法がないと言われても必ずしもその結果が終わりとはならない。

これからのがん治療は「プレシジョン・メディシン」を中心に進むことは間違いないと言う。そのスピードは5年後、10年後に期待を持てるように加速している……。

癌になっても長く充実した人生を過ごせる時代は目前だ。

(以上、『NHKスペシャル がん治療革命が始まった~プレシジョン・メディシンの衝撃』)

NHKスペシャル「プレシジョン・メディシン」反響ツイート

https://twitter.com/kentakeuchi2003/status/800324437727809537

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