クローズアップ現代「細胞から若返る秘策」
2017年5月16日放送の「クローズアップ現代+」は、健康長寿についての話題。
私たちの染色体の先に付いている「テロメア」、テロメアは細胞分裂を繰り返すたびに短くなってゆく――。無くなれば細胞分裂は出来なくなりその細胞は死を迎える…。
これが老化の正体でありプロセスとなっている。今、テロメアを簡単に長くして老化を遅らせようとする研究が進んでいるという――。その方法とは?
クローズアップ現代番組データ
【放送日時】 2017/05/16(火曜日)よる10時(25分)
【放送局】 NHK総合
【番組副題】 生命の不思議”テロメア” 健康長寿はのばせる!
【出演】 武田真一 田中泉
【スタジオゲスト】 石川冬木(京都大学大学院教授=テロメアと老化・がんなどを研究する第一人者) 石川善樹(予防医学研究者)
【語り】 古谷徹
「THE TELOMERE EFFECT(テロメア・エフェクト)」
書籍「THE TELOMERE EFFECT」――。
今、2017年1月に出版された専門書が話題になっている。
The Telomere Effect: A Revolutionary Approach to Living Younger, Healthier, Longer
- 作者: Dr. Elizabeth Blackburn,Dr. Elissa Epel,Suzanne Toren
- 出版社/メーカー: Orion Spring
- 発売日: 2017/01/26
- メディア: ペーパーバック
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この本はテロメア研究の集大成で、すでに20カ国以上で翻訳出版が決定。
著者はノーベル賞受賞者の「エリザベス・ブラックバーン」博士だ。
長寿研究の第一人者として、千人を超えるテロメア研究者の成果をまとめ書き記した。
エリザベス・ブラックバーン博士がNHKのインタビューに登場、長年の研究により博士を筆頭とするグループは「寿命は伸ばせる」という結論に至ったという。
病気にかからず生産的に人生を楽しめる”健康長寿”年数には、テロメアが関わっていることを突き止めた――。
テロメアとは一体何か?
私たちの身体を作っている37兆個の細胞は、生きている限り分裂してどんどん入れ替わっている。
例えば皮膚の細胞はわずか1、2ヶ月で新しい細胞に入れ替わっていると言う。
この細胞分裂に深く関わっているのが、染色体の端にある「テロメア」。
その正体は「塩基(えんき)」と呼ばれる場所で、細胞が分裂する度に少しずつ数が減ってゆくように出来ている。
テロメアの長さは、生まれた時に15,000(=塩基数)あるが、30歳を超えるとその長さは半分(6,000)になり、加齢につれてさらに塩基数は減少する。
テロメアの塩基数が減少するにつれ染色体は安定性を失い細胞が老化してゆくという。
老化すると新しい細胞が出来なくなるため体全体の老化も始まってしまう…。
テロメアが消費されるとその細胞は寿命を迎えることから、「命の回数券」とも呼ばれている。
テロメアの長さは同じ世代でもバラバラ!
テロメアの長さには大きな個人差がある。
広島大学大学院教授の 田原栄俊さんの協力の下、アラフィフの男女10名の血液を採取。白血球の中の染色体にあるテロメアの長さを測定。
その結果、同じ年代なのに35歳相当のテロメアの長い人から、83歳相当の短い人まで様々であることが判明した…。
テロメアの減り方を早めるものとは?
エリッサ・エペル(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)教授。
アメリカの最新研究によって、テロメアの減り方を早めるものがあるとわかってきた。
心的ストレスがテロメアを短くする!
テロメアを短くするものとは心的ストレスが挙げられる。
例えば「肉親の介護」。
比較的若い段階から両親の介護をせざるを得ない状況に置かれた人は、テロメアの長さが短くなっていた。
また、「心配性」「悲観的」な人は心的ストレスが常に高い状態のため若い人も含めテロメアが短い傾向にあるという――。
40代以降のがんの主な原因が「テロメア」!?
東京健康長寿医療センターの、相田順子副部長は、40代以降のがんの原因はテロメアの短縮ではないかと見ていた…。
食道がんの患者からがん細胞の近くにある細胞を取り出してテロメアを調べると年齢平均よりも大幅に短くなっていたことがわかった。
テロメアが短い=遺伝子変異が起きやすい状況
テロメアが短くなってくると、染色体が不安定になるので遺伝子変異が起きやすい状況が作られるという。
- 遺伝子変異が起きやすい=癌に変異しやすい
相田先生は、テロメアの短さによって変異が起きる可能性が高い「がん」の種類として以下のようながんが当てはまると話した――。
- 食道がん
- 口腔がん
- すい臓がん
- 皮膚がん
テロメアと認知症との関係も!?
ケビン・キング医師(ハンティントン医療研究所)が、2000人の脳画像とテロメアの短さを比較した所、テロメアが短くなった人ほど、脳が萎縮するということもわかってきた。
特に記憶を司る海馬の萎縮が顕著だとされた。
石川冬木先生「テロメアと生活習慣の関連」
(ここでスタジオに場面転換)スタジオゲストの石川先生が解説。
加齢や生活習慣などによってテロメアが短くなると、染色体細胞づくりをサボってしまうという。
例えば――。
- 老化 … 皮膚がコラーゲンを分泌し皮膚にハリを与えるがテロメアが短くなるとそれをしなくなる=皮膚のシワやたるみ
- たばこ・酒 … 喉や肺のテロメアが短くなる=細胞本来の仕事をサボる=息が苦しくなる、場合によっては肺がん・肝臓がんが発生
救世主「テロメラーゼ」とは?
エリザベスブラックバーン博士が発見したのが、「テロメラーゼ」。
テロメラーゼは、テロメアを伸ばす働きをするという。
この発見で、エリザベスブラックバーン博士の研究チームはノーベル賞を受賞している。
簡単な方法でテロメラーゼを増やす方法とは?
方法その1「瞑想(マインドフルネス)」
アメリカ(カリフォルニア大学ロサンゼルス校=ヘレンラブレツキー教授)では簡単な方法でテロメラーゼを増やす方法を実験中。
それは、ヨガの「瞑想」(マインドフルネス)。
1日12分、2ヶ月間ヨガの瞑想を行ったグループはテロメアの長さが長くなったと言う。
【紹介された呼吸法は――】
- 4秒吸って、4秒はく
- (”4秒吸って、4秒はく”呼吸をしながら)花・ろうそく・夕日などを見つめる
- 1日10分から行う(以下の動画を見終わるとちょうど10分間です)
方法その2「テロメアがのびやすい4つの習慣」
予防医学研究所のディーンオーニッシュ博士は、「4つの習慣」を提唱する。
- 1.有酸素運動 … 1日30分のウォーキングを週に6日(筋トレよりもジョギングなど軽めの運動を週に3回程度から)
- 2.野菜中心の食事 … オメガ3脂肪酸を含む野菜豆類、魚、海藻、精白していない小麦、米
- 3.コミュニケーション … 孤独な人はテロメアが短い傾向。つながりが豊かであればあるほど健康で長生きだという
- 4.睡眠 … 7時間以上
細胞から若返る! テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム
- 作者: エリザベス・ブラックバーン,エリッサ・エペル,森内薫
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2017/02/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
医療業界も注目しているが…
アメリカの医療保険会社では、自社の保険加入者を対象にテロメアの長さを計測。
大規模なデータベースを作り、病気予防に応用が進んでいた。
テロメラーゼサプリメントに要注意!
また、健康食品関連でテロメラーゼの分泌を促すサプリメントなどが販売を伸ばしている。
ただし、テロメラーゼを増やすというサプリメントには賛成できないと、ノーベル賞受賞研究者のエリザベスブラックバーン博士。
その理由として、「まだ長期的に利用されていず効果がわからないこと」と、「もしも過剰にテロメラーゼが出来てしまった場合は害があるから」と言う理由。
過剰にテロメラーゼが作られると逆にがんのリスクが高まってしまう。(形の悪い染色体が増えてしまうため)
(※2017年5月16日放送)
クローズアップ現代プラス反響ツイート
「クローズアップ現代+」のテロメアの話。測っているのは白血球のテロメアだよね? 脳の萎縮とテロメアの長さとの関連をいっているけれど,脳の神経細胞のテロメアではないよね? 神経細胞って,そうそう分裂しないはずだし。相関関係と因果関係,大丈夫なのかな?
— 縞うさぎ/詫摩雅子 (@shima_usa96) 2017年5月16日
命の回数券テロメア、短くなると老化や病気になりやすい。短くする要因はストレス、酒、タバコなど。しかし一日10分の瞑想、野菜中心の食事、有酸素運動、人間関係などでテロメアをのばすこともできることが、実験結果かに。テロメアをのばすテロメラーゼのサプリには警鐘も。クロ現
— Naoya Mori (@b4mori1) 2017年5月16日
https://twitter.com/Kameno17/status/864476667556749312
昨日のクロ現見た!!
— 📎みるきー📎☆雑種 (@Milkywaaaaay) 2017年5月17日
テロメア伸ばすのは確かに寿命を遅らせることが出来るかもしれないけど、それが全てじゃないしテロメラーゼ活性化したら多分健康、長寿云々の前にがんになると思うわ。
「クロ現」テロメア研究。染色体の端にある。老化とともに減っていく。孤独ストレスでも減っていく。短くなるとガンになりやすくなり、脳の海馬の萎縮も起こる。テロメラーゼを増やせばテロメアが伸びるが、過剰になるとガンになる可能性も。瞑想、ウォーキング、野菜、友人、カウンセリングが効果的。
— morinomizuki (@iroiro117) 2017年5月17日
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