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クローズアップ現代、免疫チェックポイント阻害剤でがん治療4つ目の柱への期待…その特徴とメカニズムをまとめ【2015年10月27日(火)放送】



クロ現+今回の見どころは?――

2015年10月27日(火)放送の「クローズアップ現代」は、免疫チェックポイント阻害剤「ニボルマブ」への期待と仕組み。

ニボルマブは従来の薬と違い画期的な治療薬になる可能性がある。開発は京都大学の本庶佑先生、諦めかけていた癌が劇的に小さくなる驚きの薬だという…。現在は皮膚がんには効いて大腸がんには効きにくいなど得意分野があるが、その特徴やメカニズム、今後の展望について――。

クローズアップ現代出演者一覧

【放送副題】 がん治療が変わる 〜日本発の新・免疫療法〜(No.3723)
【司会進行】 国谷裕子
【解説ゲスト】 玉田耕治(山口大学教授・がんと免疫細胞の関係を研究)

免疫チェックポイント阻害剤の登場!

がん治療と言えば「手術」「抗がん剤」「放射線」の三つの治療が現在の主流。

ここへ「免疫療法」が第四の柱として加わる可能性が出てきた――。

これまで治療効果があることが科学的に証明され国から治療薬として承認された免疫療法はほとんど無かったと言われている。

しかし今回、長い間恐れられたガンに画期的・根本的ながん治療薬が開発され世界中が期待している。それは…

  • 免疫チェックポイント阻害剤 …(日本での製品名:オプジーボ(和名:ニボルマブ(遺伝子組換え)・Nivolumab(Genetical Recombination))

2015年9月にアメリカ・ニューヨークで開催された国際会議「国際がん免疫療法共同会議」で話題となったこの新しい薬、今までに無く大勢の研究者が集まったという。

「がん治療が劇的に変わろうとしている(パラダイムシフト)」

「不可能を可能にする大進歩です」

「今まで諦めていた患者さんで2割から4割、非常に期待ができる」

講演を聞いた医療関係者はこのような期待を口にしていた。

免疫チェックポイント阻害剤の働きとは?

(VTR登場医師:国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科・山﨑直也 科長)

免疫チェックポイント阻害剤は、本来人間の免疫が持っている防除力を引き出すシステム。既に国の承認がされている。

現在日本やアメリカの臨床研究では、メラノーマや肺がんに効果があるという。

さらに将来大腸がんや胃がんなど世界中で研究が行われている段階。

そのメカニズムは以下の通り…

  1. 通常は免疫細胞が癌を攻撃して癌を撃退!
  2. 癌細胞は免疫細胞にある「ガン細胞攻撃停止ボタン」を押し免疫細胞を無力化=増殖する
  3. そこで免疫チェックポイント阻害剤を使用
  4. 阻害剤の効果で癌細胞は免疫細胞にあるガン細胞攻撃停止ボタンが押せなくなる
  5. 免疫細胞が癌細胞の攻撃を続行
  6. やがて癌細胞が死滅する(癌が小さくなる)

免疫阻害剤開発のきっかけ「本庶佑 京都大学」

京都大学大学院医学研究科の、本庶佑先生は免疫学のエキスパート。

20年前「PD-1」という役割不明のタンパク質を発見。研究の結果PD-1が免疫細胞が正常細胞を攻撃しないように制御するブレーキの役割をしていることが解った。

そこで本庶佑教授は「PD-1を制御すればがん細胞をやっつける事ができるかもしれない」と考え免疫チェックポイント阻害剤開発がスタートした。

ところが当時、日本の製薬会社は”免疫治療は眉唾もの”だろうという固定観念が根深くとり合ってもらえなかった…。

最終的にアメリカの製薬会社とベンチャー企業が協力し研究開発に成功。2012年6月その治療薬は完成し高い効果を実証。

こうして免疫チェックポイント阻害剤は誕生した。

Sさん(73)、Bさん(75)の場合は…

日本在住のSさん(73歳)は去年のはじめ(2014年)がんと診断された。

右足の太ももに2cmのほくろのようなもの。皮膚がんの一種でメラノーマといわれるがんだ。

すでに筋肉の中に入り転移をしていて手術しても取り切れない。Sさんは、国立がん研究センター中央病院(東京・中央区)を訪れる。

Sさんは、主要ながんを手術で取り除いたあと、免疫チェックポイント阻害剤による点滴をうけた

すると驚いたことに転移も進んでいたがんがみるみる小さくなった。今も数週間に一度点滴を受けているが、日常生活に支障が無いほど回復している。

また、アメリカコネチカット州のBさんは、肺がんが全身に転移して余命三ヶ月と宣告された。抗癌剤治療の効果はなし。

そこで、抗癌剤治療は中止して、免疫チェックポイント阻害剤「アデゾリズマブ」を使用。薬の使い始め最初は、2cm以上あったBさんの肺がんは薬の投与を開始して1年半後には、画面では確認できないほど小さくなってしまった副作用も殆ど無く、自分が病気であることさえ忘れるという。

ただし副作用も有る…

免疫細胞のブレーキを外した細胞は、暴走して自分自身を攻撃することがある。現在は、この暴走に因る肺の炎症、大腸の炎症が、副作用として認められる。また10人に1人は、重篤な副作用が出るという。

効きやすさ、効きにくさについて

この阻害剤が効きやすいのは、メラノーマ、肺がん、腎臓がん、ホジキンリンパ腫(特に効きやすい9割が効いた)など

効きにくいのは、すい臓がん、前立腺がん、大腸がん

その中間の効き目は、頭頸部癌、卵巣がん、胃がん、乳がん。

なぜ効きにくい癌があるのか?

ステファニージョホさん(25)は、22歳の若さでステージ4の大腸がん。

ステファニーさんは「リンチ症候群」という遺伝により、ガンになり易い体質の持ち主。

抗癌剤を使ったが回復は認められず一時危篤状態となった。

そこでわらにもすがる思いで大腸癌には効きにくいとされていた阻害剤の臨床試験に参加、それから1年、今ではがんが60%小さくなり日常生活が送れるようになった。

なぜ免疫チェックポイント阻害剤が効きにくいとされる大腸がんで、ステファニーさんには著しい効果が見られたのか?

普通の大腸がんは免疫細胞が見過ごしてしまうほど変異が起きにくくわかりにくい。そのため免疫細胞が攻撃してくれない。

しかし、リンチ症候群の大腸がんはがんが大きく目立つため、免疫細胞がすぐに見つけて攻撃しやすい。「がん細胞が目立つ(遺伝子変異が多い)」この事が阻害剤を効きやすくしていたのだ。

希望はあるが今後の課題は多い

  • まだ効果があるがんとあまりないがんがあるので、その特徴をさらに研究・応用してどのがんにも効くようにする
  • 免疫細胞の暴走による副作用もあるので、副作用の起こりそうな患者を同定することが研究課題
  • まだ薬の価格がすごく高いので、効く確率が高い患者を選別するための研究が必要
  • 現在は免疫細胞のブレーキを外すだけだが、今後は免疫細胞のブレーキを外しながら、アクセルを踏む研究が重要となる

免疫チェックポイント阻害剤反響ツイート

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