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要約「サイエンスZERO 創薬が変わる!ドラッグ・リポジショニング」▽肺がん・前立腺がん・乳がんの薬を探す【2016年7月31日(日)放送内容 NHK Eテレ】

サイエンスZERO「ドラッグ・リポジショニング」

2016年7月31日(日曜日)よる11時30分から放送された「サイエンスZERO」は、ドラッグリポジショニングについて。

アスピリン」が乳がんに、「肝炎の薬(リバビリン)」が前立腺がんに効くかも知れないという。これら既存の薬が別の病気に効く事例を新しく発見する取り組みについて紹介された。

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サイエンスZERO番組データ

【放送日時】 2016/07/31(日曜日)よる11時30分(30分)
【放送局】 NHK Eテレ
【番組副題】 創薬が変わる!ドラッグ・リポジショニング
【進行役】 南沢奈央 竹内薫(サイエンス作家)
【スタジオゲスト】 堀本勝久さん(産業技術研究所 創薬分子プロファイリングセンター副研究センター長)

今回のまとめ

  • 巨額の投資が必要な新薬は年々開発が難しくなる。薬の材料になる化合物が出尽くしていて新薬発見は頭打ち
  • すでに安全性が確認されている既存の薬が、別の病気に効くという例がチラホラ出てきている。例えば「元は心臓の薬」⇒「男性機能の薬(バイアグラ)」などの例がある。
  • 遺伝子を詳しく調べる新しい検査機器を使って、既存の薬が別のどんな病気に効くか調べることが出来そうだ。今そのための研究開発が盛んになっている。(「元は頭痛薬のアスピリン」が「大腸がん」に効くかもしれない等が研究中だ)

創薬を変えるドラッグ・リポジショニングとは?

今、化合物の種類が出尽くし頭打ちとなって新薬が開発されにくくなっている。

しかも新薬が生まれたとしても、その先には数多くの安全性試験にパスする必要があり巨額の投資が必要となる。こうした新薬が実際に販売される確率は、テストされる新薬全体の3万分の1だという。

そんな中、既存の薬を別の病気の治療薬として使う試みが始まっていた。既存の薬であれば安全性は折り紙つきだ。

これを「ドラッグ・リポジショニング」という。

例えば、糖尿病治療薬「メトホルミン」が、がんに効くという研究や、高脂血症薬(スタチン)が脳卒中に効くという研究も始まっている。

毎年、ドラッグ・リポジショニング関連の論文は増え続けていてその活況がうかがえる。

国立循環器病研究センター

大阪にある国立循環器病研究センター(吹田市)では、ドラッグ・リポジショニングによって既存薬を全く別の病気に転用する研究がスタートしていた。

「カルペリチド」という薬は元は心不全の薬だったが、この薬がなんと「肺がんの転移を抑える」効果があることが判明した。

新しい効果を発見したのは、野尻崇さん(のじりたかし・国立循環器病研究センター 医師)。

野尻崇先生は元々心臓外科医だったが、10年前呼吸器の病院に異動し今度は肺がんの手術に追われる日々を送っていた。

がんで肺の一部を摘出すると心臓への負担が増え、不整脈を併発する事がある。

カルペリチドは心臓の薬だったが、もともと心臓外科医だった野尻崇先生は、心臓への負担を減らすという意味で肺がんの患者にも使用していた。

すると、確かに数多くの患者に手術後見られていた不整脈が減っている。

さらにデータを見なおしたところ意外な発見もあった。

なんと肺がんの転移も減っていることがわかったという。

このことをしっかりと証明するためマウスによる実験を行った。その結果、マウスの肺がんの転移が減少していることが証明された。

なぜ「カルペリチド」が肺がんを抑制したのか?

血管の中で炎症が起きると、大量の物質が流れてくる。

これを抑えるため、「Eセレクチン」という物質が出てきて血管の壁にその炎症物質をくっつけてしまう。

肺がんの手術時にも炎症が起こるので、大量の物質とともにがん細胞も流れてくる。同様に、多くのEセレクチンも出てきて、がん細胞も一緒に血管の壁に付着させて留まってしまう。

血管の壁についたがん細胞はそこから芽を出し がんが発生、転移。

そこで「カルペリチド」の出番。

カルペリチドは、血管に炎症が起きても「Eセレクチン」の発生を抑えるため流れてくるがん細胞が血管の壁に付着しにくい。

結果としてガン転移が起きにくくなるという仕組み。

今まで、カルペリチドがEセレクチンを抑えるという効果は知られていなかったという。

刀根山病院(大阪府豊中市

大阪府豊中市の「刀根山病院」では、実際にカルペリチドを使った患者さんが居た。

北山精一さん(82歳)。

北山さんは、73歳の時に肺がんが発覚。肺の3分の1を摘出、カルペリチドを投与したところ9年後の現在も肺への転移は無い。

現在カルペリチドは臨床試験

カルペリチドは、現在臨床試験中で、そのデータを見ても術後2年で9割以上の人の肺がんが再発していないという。

がんの転移での治療法は確立されていない。血管中のガン転移からアプローチする治療法は確立されれば世界初の試みとなる。

その他のドラッグ・リポジショニング

その他にも、ドラッグ・リポジショニングの例はある。

いずれも昔は偶然の発見が多かったが、現在遺伝子技術を使い狙って見つけ出すように研究が進んでいる。

遺伝子と薬の関係とは?

東京大学ヒトゲノム解析センター教授の、柴田龍弘さんがVTRに登場。

体の遺伝子は2万数千あり、普段は眠っている。眠っている遺伝子が起きることを「遺伝子の発現」といい、病気になると不必要な遺伝子が起きてきたり、逆に必要な遺伝子が眠ったりする。

薬は、これら異常な遺伝子の行動を正しい状態に戻すために働いて病気に作用するという原理がある。

柴田さんのグループでは、「illumina」というメーカーの次世代シーケンサーを活用し遺伝子を撮影。

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(写真:Illumina | Sequencing and array-based solutions for genetic research)より

この機械で遺伝子一つ一つの発現を観察できる。

この次世代シークエンサーを使うことで、今まで知らなかった新しい遺伝子も調べることができるという。

また、がん細胞の遺伝子を調べどの遺伝子が起きていてどの遺伝子が寝ているのかを調べることでこれまで知られていなかった病気の状況というものが理解できると話した。

新薬を見つける驚きの方法とは?

この次世代シークエンサーを使って得られたデータをスーパーコンピューターにより解析する。

病気の人と、健常の人の同じ部分の遺伝子の発現量を色で表し比べると、同じ色に染まる部分と全く違う色になる部分がよく分かる。

つまり、健常者と病気の人が同じ色の部分(=遺伝子)はその病気には関係がない遺伝子を示しているので、健常者と病気の人の遺伝子の内、色が違う部分の遺伝子を重点的に調べる。

そうすることによってその部分の遺伝子に効く新薬を偶然の力ではなく人の手で見つける事が可能となる。

Cmapを使用したドラッグ・リポジショニングの具体的方法とは?

堀本勝久さんの研究室では、薬の化合物を探すためにハーバード大学が主催しているサイト「コネクティビティマップ(Cmap)」を活用し1309種類の化合物の中から探しだしている。

http://portals.broadinstitute.org/cmap/

このインターネットサイトを使って、次世代シークエンサーで解析した病気の部分の遺伝子をCmapで検索しその遺伝子の発現に関係のある化合物を見つけ出す。

例えば、大腸がんを抑制する可能性があるアスピリンなどの化合物のリストをサイトから引き出すことができる。(アスピリンは大腸がんを抑制する事が判明している)

このコネクティビティマップの公表は当時世界中が驚いたという。

Cmapによって探し出した候補薬の中から新しい薬を探しだす研究を始めることができるようになった。

アルツハイマーの薬と乳がん

現在、堀本勝久さんは、「悪性の乳がん」に対する新薬をドラッグ・リポジショニングによって開発中だと話した。

現在解っているのは、アルツハイマーの薬が悪性の乳がんに効くかもしれないという研究で、年内には結論を出したいという。

日本発の「世界初がん治療術」

去年(2015年)日本から新しいがん治療の方法が世界に発表された。

抗癌剤が効きにくくなった場合に、ある既存薬を投与すれば、再び効くようにできるというのだ。

研究されたのは「前立腺がん」の抗癌剤

前立腺がんの抗癌剤は、同じ抗癌剤を長年使用していると耐性がついて効かなくなることが知られている。

今回、ドラッグ・リポジショニングによって、C型肝炎の薬(リバビリン)が抗癌剤を再び効くようにする効果があることが判った。

慶應大学病院では、西村賢記さん(にしむらさかき・82歳)が11年前「前立腺がん」とわかり最初は余命4年の骨転移もあった。

10年の抗癌剤治療をしたが、西村さんには耐性がついていて、抗癌剤治療が効かなかった。

そこで、リバビリンを投与。抗癌剤治療が再び効くようになりなんと投与後にはがんが消えてしまったという。

小坂威雄(こさかたけお)医師(慶應大学病院泌尿器科)はこの方法は、とても有効だと話した。ただし、この薬は現在臨床試験中なので一般の治療は行われていない。

更に堀本さんは、将来的には希少疾患に効く既存の薬も探し出したいと語った。

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サイエンスZERO反響ツイート

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次回のサイエンスZEROは…

次回のサイエンスZEROは、宇宙最大の謎「ダークマター」について。驚きの新説が発表されたという。日曜日よる11時30分放送。

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