サイエンスZERO「セルロースナノファイバー」
2016年9月18日(日曜日)よる23時30分頃からNHK Eテレにて放送された「サイエンスZERO」は、日本発セルロースナノファイバーについて。
日本は国土の7割もの面積に森林がある。この広大な資源を利用した新素材が開発された。将来的には車のボディーなどに応用できる画期的なものになるかもしれない。今回はその「耐久性」「軽さ」に優れた特性をもつ新素材に着目。
サイエンスZERO番組データ
【放送日時】 2016年9月18日(日曜日)よる11時30分(30分)
【放送局】 NHK Eテレ
【サブタイトル】 日本発!夢の新素材”セルロースナノファイバー”
【サイエンスナビゲーター】 南沢奈央 竹内薫
【スタジオゲスト専門家】 矢野浩之(京都大学 生存圏研究所)
セルロースナノファイバー(CNF)
セルロースナノファイバーの原料は植物から作られるパルプ。
触感は…「はぁっ、わぁなんかゼリーみたいですね。ぷりんぷりん!」と南沢奈央が指で突っつく。
19世紀が鉄、20世紀がプラスチック、21世紀はセルロースナノファイバーの時代かもしれない。また経済産業省によれば、2030年には経済規模が1兆円になるのではないか?と予想されている。
現在でも、化粧品、ボールペン、紙おむつ、食品、自動車まで多種多様に開発が進んでいる。その特性は…
- 軽くて強い … 鉄の半分の多さで5倍以上の強さがある
セルロースナノファイバーの開発を牽引してきた、京都大学生存圏研究所の、矢野浩之教授。
長年木材が持つ可能性について研究をしてきた。「木の国、日本」から優れた素材を生み出したいという。
パルプを細かくほぐすだけで、セルロースナノファイバーは出来上がる。紙の繊維をナノサイズまで細かく分解して再構成することで鉄よりも強い構造を生み出す。
「もとは紙だった素材が、鉄よりも強くなるんですね」と南沢奈央。
ナノファイバーの細さは想像を超える細さ。例えば私達の髪の毛の断面を東京山手線の広さにまで拡大した時に、ナノファイバーの断面は直径1mしかない。
セルロースナノファイバーの課題
実験室で少量作る場合は簡単に作れるが、産業規模になると製造コストが増すという。
- 鋼鉄 … 50円~200円
- アルミニウム合金 … 400円
- プラスチック … 200円~1,000円
- セルロースナノファイバー … 5,000円~10,000円
東京大学の磯貝明教授が森林分野のノーベル賞と言われる「マルクスヴァレンベリ賞」を受賞した。
日本人として初めての受賞で、セルロースナノファイバーを簡単に取り出す方法を開発した。
電荷を使った方法で、大量に安く生産できる方法を見つけたという。
この抽出方法を使えば、1,000円位の製造コストになる。
セルロースナノファイバーで車を作れ!
現在矢野浩之さんは、自動車のボディーをセルロースナノファイバーに出来ないか研究をしている。
しかし設計図通りの複雑な形にならないなど問題点があった。そこでプラスチックを10%混ぜて思い通りの形にすることに成功。
ドアやボンネットを軽くし燃費が20%向上した。数年後には実際に車に使える耐久性などを試験したいという。
さらに、携帯電話などのボディーも作れるのではないかと考えている。
チクソ性(液体⇔ゲル状)
チクソ性とは、止まって置いてあるときは固くなり、振って力が加わるととろとろになる性質のこと。
セルロースナノファイバーもこの「チクソ性」を持っている。
静止しているときは、ナノファイバーの繊維同士がくっついて構造化し「ゲル状」になり、振り混ぜるとその構造が解かれるため、液状に。
さらに放置するとまたファイバーがくっついてゲル状に戻ると言う。
ボールペンのインクが掠れない
三菱鉛筆では、ボールペンの増粘剤にセルロースナノファイバーを使用、そのチクソ性によりインクを安定して出すことに成功した。
日焼け止めがサラサラに
また、増粘剤によりべたつく日焼け止めにファイバーを使用すれば、べたつかない日焼け止めや、化粧品に応用できそうだと言う。
南沢奈央が、CNFありの化粧品を塗ってみてもらった。スプレー
大量の細かい分子で表面積が大きい
セルロースナノファイバーを入れた消臭品。
セルロースナノファイバーは、ものすごく分子が細かいため、それだけ延べ面積が大きくなる。同量の消臭製品と比べると消臭力も大幅に高まると言う。
大人用の紙おむつに使えば3倍以上の臭いが消せると期待されている。
よりジューシーなハンバーグ
食品にもセルロースナノファイバーが使える。
冷凍ハンバーグにセルロースナノファイバーが入っていて、水分を抱き込み解凍しても旨味成分が外に出ないハンバーグを作れる。
ただし、身体の中に入れるものなので安全性についての研究が続いている。
(※こちらの動画は「NHKオンデマンド」にて配信中とのことです)
サイエンスZERO反響ツイート
いまEテレでセルロースナノファイバーの番組があってます。
— 先端科学・最新技術ニュース (@taiga8823) 2016年9月18日
夢の素材です。お見逃しなく。
鉄より強いセルロース?
— い~ぐる🦅 (@eagleutkk) 2016年9月18日
【TV】今夜のサイエンスZEROはセルロースナノファイバーの話。軽くて驚異の強度を持つ新素材。電荷を利用して効率よく取り出す方法が発見され、コストダウンが期待される。自動車産業などに貢献するか?
しかし今さらセルロースナノファイバーの番組観てるけどすごい素材だよな。うちらはどんなジャンルの情報も早く入る。凄そうで飛びついて 理解できる情報になる時には祭り終わってるもんなあ。
— 観音 (@kannon0120) 2016年9月18日
昨夜のサイエンスZERO「日本発!夢の新素材“セルロースナノファイバー”」を観た方いらっしゃいませんか?植物から軽くて鉄よりも強い、加工も容易な素材としてセルロースナノファイバーが注目されているそうです。国土の7割が森林の国、日本はまさに資源大国になるわけです。
— 安部芳裕 (@abe_yoshihiro) 2016年9月18日
https://twitter.com/mt_txt/status/777746577884459009
https://twitter.com/MITAOX/status/777768452094255105
次回の「サイエンスZERO」は…
次回のサイエンスZEROは、「発見!地球に一番近い系外惑星”プロキシマb”」について。