きょうの健康まとめ
2015年11月24日(火曜日)に放送された「きょうの健康」は、摂食えん下障害の対策法。誤嚥が起こる仕組みや「誤えん性肺炎」を防ぐために「喉の機能低下について」「喉のトレーニング術」について紹介されました。
きょうの健康出演者一覧
【番組副題】 おいしく食べる!摂食えん下障害の対策
【司会】 桜井洋子
【番組出演医師】植田耕一郎(日本大学歯学部教授・摂食えん下治療とリハビリに取り組む歯科医)
摂食えん下
「摂食」とは食べること。「嚥下(えんげ)」とは、飲み込む事を言う。
桜井洋子アナウンサーのお母さんも摂食えん下がうまくいくにはどうすればよいかいろいろと試しているという。
90歳の女性、普段はベッドに寝たきりで食べられない、起き上がれない状態。しかし、数日ゼリーをひとくち毎日口に持って行くとやがて食べることができるように。
さらに、目が開いたり、「あー」と声を発したり、体を起こす、表情が出るようになった。
「味わう」ということが単に栄養をとることだけではなく「生活をする」という意味で潤いをもたらす重要なことだと、植田耕一郎先生が言った。
嚥下のしくみ
喉は食道と気道に枝分かれしていて、気道に食べ物が入ると大きく咳き込み侵入した食べ物を出そうとする。
そのために「喉頭蓋」という気道を塞ぐ「フタ」がある。
私達が食べ物を食べるとこの喉頭蓋が自然に閉まって入ってきたものを食道へ導くのが正常な嚥下。
誤嚥のしくみと発症する病
誤嚥は、口内の圧力が高まらないために、たらたらと食べ物が食道に流れてゆく。タイミングがずれて食道の入り口が閉まってしまい食べ物が手前に溜まった状態に。
そのまま喉頭蓋が開いて食道前に溜まっていた食べ物が気道に入ってしまう。これを「誤嚥(嚥下障害)」という。
さらに、食べ物が気道に入ってしまうと
- 誤えん性肺炎
になってしまう。
喉の機能低下 重くなる前に気づく…
むせ … むせ自体は防御機能が働いているので悪くない。しかし以前よりもむせる回数が高くなった時は誤嚥を疑ったほうが良い
- 普段からガラガラ声(痰が絡んだような声)がする … 喉頭蓋(喉のフタ)の上のところに食べ物が溜まりっぱなしになっている
- 食べたものがポロポロ、口から落ちている
おいしく安全に食べる工夫
おいしく食べる。誤嚥を起こさないようにして食べる工夫が紹介された。
食事の工夫
「とろみ」をつける。水はさらりと気道に入ってしまうので、とろみを付けて気道に入らないようにする。(糸を引く程度)
「まとまり」がつく食材。魚の白身などはパサパサしているのでまとまりがない。クッキーよりもおせんべいのほうが唾液を吸い取りまとまりが出る。
「かみごたえ」のある程度ある食材。ペースト状の食材は丸飲みするのでかえって誤嚥を誘発する場合がある。噛む機能がある程度しっかりしている人は、噛んで味わえる食事も用意する。
植田耕一郎先生も「好きなもの」はむせない患者さんがいたと話した。
食べる姿勢
「あごを軽く引く」
姿勢も大切。食べるときには顎を引いて直接のどに食べ物が流れていかないようにする。
首が上を向いていると喉の傾斜がきつくなるため、食べ物の流れる速度が増してむせたりする。
リハビリ
体の訓練同様、口にも筋力のトレーニング方法がある。
- 口のストレッチ … 「うー」「いー(口角を意識)」を繰り返して発音する。「う~い~う~い~」
- 頬のストレッチ … 頬をぷくっとふくらませる動作と頬をすぼませる動作を交互に行う
- 舌のストレッチ … 舌を思いっきり左・右・上・下に動かす
歯磨きをするついでに、口、頬、舌のストレッチ1セット行えばよい。
続いてむせ防止のための訓練(トレーニング)。
年を取るとどうしても喉仏の位置が下がってくる、そのため喉仏が上がる距離が増えてフタが閉まるまでの時間がかかるようになり、特に水のようなものはサラッと流れてむせやすい。
- むせ防止のストレッチ … 仰向けに寝た状態で、頭だけを上げてつま先を見る動作。上げた状態を10秒キープする(喉の筋力を増強して上下動を活発にする)
このトレーニングは1日10秒を3回行うと良い。
ラストは咀嚼嚥下のトレーニング方法。
- 咀嚼嚥下のトレーニング … ベッドにうつ伏せになり顎を枕に乗せる。枕に載せただけで体重により首筋や腹筋のストレッチになっている。寝るだけのトレーニング。10カウントを2,3回。うつぶせ寝は意外に体力が必要。
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