2015年5月19日放送のまとめ
『たけしの健康エンターテインメント! みんなの家庭の医学』は……原因不明の「めまい」「尿トラブル」「足のむくみ」を名医が診断。セカンドオピニオンスペシャル!
治らない危険な「めまい」の正体は?
めまい治療の名医、山中敏彰先生(奈良県立医科大学附属病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科准教授)が診断。
Aさんは、大の甘党。仕事の休みの日にはスイーツの名店を探し友達からは「スイーツ女王」と呼ばれるほどだった。
そのうちに振り返った時、朝起きた時など頭を動かすとめまいがするようになった。
病院へ行くと「良性発作性頭位めまい症(耳石という異物が三半規管に入りめまいがする)」と診断された。
良性発作性頭位めまい症は、めまいの中で最も多く最大の特徴は、頭を動かした時に起こること。
しかし車の運転中に再発。危うく事故になりかける。
その後、脳の検査をしたが異常がなし。
さらに、伝票の文字が二重に見えたり、味覚に異変が起きた。
めまいも再発し1分近く続くようになり、塞ぎこむようになったAさんは奈良県立医科大学のうわさを聞いて訪ねることに。
めまいの問診チャート
- 質問「手足がしびれて動かなくなったりしゃべりにくいことは?」
- 質問「意識がなくなったことは?」
この質問に当てはまらない時は、脳の問題は消える。
- 質問「動悸・息切れ・胸が痛くなることは?」
この質問に当てはまらない場合は、不整脈など心臓の問題がなくなる。
- 質問「耳づまりや耳鳴り、物音が聞こえづらくなる?」
この質問に当てはまらない時は、耳の音を聞く器官の異常はない。
- 眼振検査(頭を動かしわざとめまいを起こして目の玉の動きを見る検査)
この時Aさんは、良性発作性頭位めまい症特有の目の動きが現れなかったため、良性発作性頭位めまい症ではないと診断される。
- 質問「冷え性や発汗はある?」
冷え性や発汗がない場合は、自律神経の異常ではないと判断される。
- 質問「精神的なストレスや悩みは?(現在のめまい症の悩み以外で)」
この質問に該当しない時は、うつ病などの心因性の原因は除外。
- 質問「新聞の文字が見えづらくなった?」
- 質問「飲み込みづらい・舌を噛む・味がわからないなどありますか?」
Aさんは、最近文字が二重に見え、味覚もおかしいことがあると答えた。ここで山中先生はこのめまいのヒントを見つけた。
- 眼振検査(再び眼振検査・頭を左右に振ると目が不規則に動く)
ここで、山中先生は「椎骨脳底動脈循環不全(ついこつのうていどうみゃくじゅんかんふぜん)」という病気だと診断した。
これは、首の血管の太い動脈「椎骨脳底動脈」が詰まっている病気。この血管は耳の三半規管に血液を送る大切な血管で詰まるとめまいが起こるという。
過活動膀胱ではない「尿トラブル」の原因を解明
吉田正貴先生(国立長寿医療研究センター・泌尿器科)が診断した。
Bさんは、夜の頻尿に悩んでいた。最初の病院では「過活動膀胱」と言われた。
しかし半年後、頻尿が再発。薬を変えたが変化はなかった。
かかりつけ医の紹介で、吉田正貴先生を紹介され診断。
問診は……
- 1日8回以上の頻尿
- 過活動膀胱の薬は効かない
- エコー検査をすると尿があるのに尿意がない
- 尿を出しきったというが、実際には膀胱に尿が残っている
- 排尿で痛みはない(尿結石はない)
- 尿検査の異常もない(膀胱の異常はない)
- めまい・頭痛・顔が動かしにくい・片目だけ涙がでる・ニオイがわからない(脳の異常はない)
- 糖尿病はない
- 便秘気味である
- つまずくことがある。歩きにくいことがある
- MRIで腫瘍はないことが確認された(正常)
HAM(ハム) HTLV-1 関連脊髄症
これらの問診を経て吉田先生の出した結論は「HAM(ハム) HTLV-1 関連脊髄症」だった。
この病気は厚生労働省指定の難病の一つ。HTMV-1という白血球に感染するウィルスが起こす病気だった。
発症する人は少ないがこのウィルスの潜伏者は40代以降の男女で100人に1人以上居る(国立感染症研究所調べ)
発症すると脊髄がダメージを受け、頻尿だけでなく体の様々な場所で異常が起こるという。
おしっこの出方でわかる!頻尿の3大原因
- あまり勢いがなく出切るまで時間がかかりちょぼちょぼ出る … 男性なら前立腺肥大症、女性なら尿道狭窄症。男性なら座って腹圧をかけて排尿するとよい
- 勢いがあるが出る時間が短い・頻繁に尿意が起こる … 過活動膀胱の可能性。この場合は尿意があっても我慢することで治すことが可能
- 勢いもなく時間もかかる … 神経因性膀胱の可能性あり、泌尿器科へ。
原因不明の病気を解決「総合診療科」
三重大学医学部附属病院には「総合診療科」がある。ここは様々な医療分野を横断的に診療できる科目で、いままで原因不明と言われわからなかった病気を突き止めることが出来るという。
教授の、竹村洋典先生が登場した。
原因不明のしびれと全身の痛み
Cさんは、原因不明の痛みとしびれによりいろんな病院を回ったが結果的に病名は判明しなかった。
Cさんの特徴。
- デスクワークで肩こりを発症
- 鍼治療すると改善するが一時的なもの
- 左手指先がしびれる(感覚はある。しびれは足先、指先だけ)
- 腕が重だるい
- 整形外科を受診、首のMRIを撮ると頚椎椎間板ヘルニアがあることが解るが症状は消えない
- 腰痛まで痛みが広がる
- ドライアイがある
- 足の指にもしびれが広がる(MRI検査で腰椎には問題がない)
- 神経内科で脳のMRIを検査するが異常がない
- 腕・背中からやがて全身に電気が走るような激痛が走る
- 女性外来など6軒の病院を回るが精密検査にも異常なし
- 1人で抱え込みがちな性格
- 3分早く呼吸するとしびれが来る
竹村先生が診断したのは、「線維筋痛症」と「過換気症候群」の2つの病が合併していると診断された。
治療法は、「SNRI」といううつ病の薬。この薬は線維筋痛症の人にすごく良く効く場合があるという。また、過換気症候群については呼吸を整える治療が有効だと先生は話した。
原因不明の足のむくみと痛み
大阪に住む、50代の主婦。足のむくみはひどくほっそりした腕とは反対にパンパンに足が張っている。
- 5年前、下肢静脈瘤によりむくみがあったが日帰り手術でむくみは解消した
- 2年前、治って安心し立ち仕事の連続で左右の足の膝から下がむくんでいた
- そこから7ヶ月後、鍋を持ち上げようとしたとき両足に激痛。膨れ上がり赤黒く腫れた
- 病院へ行くと下肢静脈瘤ではなく、感染症と診断された。病名は「蜂窩織炎によるむくみ」。血液検査で炎症反応があった。抗生物質で炎症を止めるが効かない。CT検査をすると、大きな血栓を発見し溶かした。血栓は体をまわり心臓や脳で詰まると危険
- 血栓を取ってもむくみは再発。病院を何軒も回るがどこに言っても異常は見つからないという
- 両足にむくみがあるが、強い痛みと変色があるのは左足だけ。両足ともつまむことが出来ないむくみ
- むくみのひどい左足に熱がある
- 腎機能肝機能、他の臓器も正常
- むくみの進行は年単位でゆっくりしている
- ふくらはぎを揉むと痛い(静脈不全の疑い)
竹村先生がセカンドオピニオンをした。詳細な問診の後、CT検査と特別な血液検査をした。5日後検査結果を踏まえて以下の診断をした。
- 蜂窩織炎(ほうかしきえん)
- 静脈不全(立ち仕事や出産が原因で静脈の弁が壊れる病気。血液が心臓に戻らなくなる)
- リンパ浮腫(静脈不全のため、リンパ液の流れも悪くなりリンパ液が足に溜まる)
次回の『たけしの健康エンターテインメント みんなの家庭の医学』は…
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