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【テレビ要約】サイエンスZERO「天然の治療薬?脂肪に潜むスーパー細胞」をまるっと要約



現代人は脂肪が邪魔。ない方が良い。しかしその脂肪の内部には、優れもののスーパー細胞が潜んでいることがわかった。

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その名も、?(番組内で紹介)(映像より:細胞の写真を提供しているのは、鳥取大学大学院、再生医療学)

 

スーパー細胞を利用すると、尿失禁から、肝臓病、アルツハイマー病まで様々な病気に有効。細胞自身が薬になる。

 

天然の脂肪に潜むスーパー細胞とは一体何なのか?医療に革命をもたらす衝撃の発見に迫る。

 

出演は、中村慶子アナウンサー。サイエンス作家の竹内薫。南沢奈央。脂肪は敵。脂肪に潜んでいるスーパー細胞が見つかった。

 

この細胞を使った一人の女性。この女性は、乳がんを患い温存手術を行った。胸元の形がかなり変形したが、脂肪細胞を注入しても多くの場合、細胞が死滅しまた元の胸元の形になってしまう。

 

こうした問題の解決に乗り出したのが、鳥取大学医学部附属病院の中山敏准教授(形成外科)悩みの多さにスーパー細胞(ASC)を使用して乳房の再建を行っている。

 

鳥取大学では、厚労省の認可「人幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の承認を受け人への臨床研究をスタート。

 

全国から5人が選ばれ、女性は希望を託した。まずお腹の皮下脂肪から吸引。そこからスーパー細胞ASCを取り出す。これを増殖させ、女性の胸に注入する。手術はこれだけです。それから3ヶ月。乳房の形はほぼ元に戻っている。2ヶ月を過ぎた頃は普通の胸と変わらない柔らかさとなった。1年経つ今も殆ど減っていないといいます。

 

手術では、スーパー細胞ASCと脂肪を混ぜて胸の凹みに注入する。しかし、注入してもマクロファージ(免疫細胞)が異物と判断し、攻撃されてしまう。ここでASCはサイトカインという物質を放出する。そうするとマクロファージは味方と思い攻撃をやめる。さらに注入した場所に血管がないので酸素や栄養が行き渡らない。そこでスーパー細胞ASCは、血管新生因子という物質を放出。血管を造成してしまう。手術を受けた5人共同様の結果が出ている。チームは、5年以内にスーパー細胞ASCを使ったこの手術を保険適用できるように目指している。

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名古屋大学大学院医学系研究科 泌尿器科学の後藤百万教授。老化で尿失禁する場合にもスーパー細胞ASCのちからが利用できる。スーパー細胞ASCを尿道の周囲に注入し衰えた筋肉そのものを回復させようという研究。自分の組織を使ってテープなどの異物を入れずに治療ができるので理想的。試験的に尿失禁の患者11人に尿失禁にASCを注入する手術を行った。8人が改善、一人は完治した。脂肪からとったスーパー細胞ASCは全く別の細胞に変わる事ができる、幹細胞のひとつ。

 

国立がん研究センター 分子細胞治療研究分野長の落谷孝広さん。IPS細胞やES細胞は人工的に作られた細胞だが、スーパー細胞ASCは、脂肪・骨・軟骨・筋肉・肝臓など限られた細胞に変わる事ができる細胞だということが知られている。ASCの能力は、損傷した組織を修復するとか、細胞を保護する能力も持っている。IPS細胞はがん化する危険性が指摘されているが、スーパー細胞ASCは、がんを起こしたことは報告されていないのは、身体由来の幹細胞だからかもしれない。骨髄の幹細胞を使って足の血管の再生や、肝臓・心臓の機能回復などの臨床研究も始まっている。骨髄細胞は、全身麻酔など患者の負担が大きく取れる量も少ない。

 

2001年、スーパー細胞ASCが発見された。脂肪吸引で骨髄よりはるかに簡単に幹細胞を得ることができるようになった。

 

スーパー細胞ASCで肝臓の病気治療研究が始まっている。スーパー細胞ASCは、血流に乗ると悪い部位に集まってくる特性もある。

 

スーパー細胞ASCの優れたところは、まだある。エクソソーム(内部に遺伝情報を伝えるRNAやタンパク質)、ASCが伝達するエクソソームには、アルツハイマー病のアミロイドβを分解する酵素を運ぶことがわかってきた。骨髄の幹細胞よりもスーパー細胞ASCのほうがよりアミロイドβを分解する。

 

スーパー細胞ASCが治療に役立つと期待されている病気は、アルツハイマー、肝臓病、脳梗塞、パーキンソン病、歯周病、糖尿病、脊髄損傷、腎臓病、がんなど様々。

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スーパー細胞ASCが自己修復機能を持っている。我々人間がある程度脂肪を持っているというのは実はとても重要な事だったのかもしれません。皮下脂肪からスーパー細胞ASCは取ることができるが、内臓脂肪にあるASCと似た細胞は我々の身体を救ってはくれない細胞であることもわかった。それどころか悪い働きをする。やはり内臓脂肪は取り去ることが必要だという。

 

スーパー細胞ASCは、国の指針を通さず、十分な設備もないままASCでの治療をしようとするクリニックがあるので十分に注意しておくひつようがある。日本の再生医療学会もこうしたクリニックに大きな警鐘を鳴らしている。まだまだ検証がひつようだが、期待が高まる。

 

(終了:2013年11月1日(日)NHK教育)