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※要約「NHK サイエンスZERO 記憶のメカニズム」▽海馬の仕組み、神経新生とは?【2016年9月4日(日)放送内容】



サイエンスZERO「記憶のメカニズム」

2016年9月4日(日曜日)よる11時30分頃から放送された「サイエンスZERO」は、記憶のメカニズムについて。

「我思う故に我あり」は、人の心について説いた ルネ・デカルト(1596-1650)の有名な言葉。その心を考える時に欠かせない私達の「記憶」、人はどうやって出来事を記憶して思いだすのか? その正体が脳の神経細胞で起きる物理的な現象として捉えられるようになってきている。今、最先端の技術を駆使し記憶のメカニズムが次々に明らかになりつつあるという。

サイエンスZERO番組データ

【放送日時】 (再放送)2016年9月4日(日曜日)よる11時30分頃(30分)
【本放送日時】 2016年2月28日
【放送局】 NHK Eテレ
【番組副題】 ”記憶”のミステリー~最新脳科学が解き明かす記憶の正体~
【出演】 南沢奈央(「台本を覚える事が多いので記憶についてぜひ知りたいです」) 竹内薫(サイエンス作家)
【スタジオゲスト専門家】 井ノ口馨(いのぐちかおる・富山大学大学院 医学薬学研究部教授)

脳にタツノオトシゴ?

脳には、海馬というタツノオトシゴにそっくりな形の器官がある。じつは「海馬」という名前はタツノオトシゴ(=漢字では”海馬”)から来ていた。

海馬には、約1億個の神経細胞があり「いつ」「どこで」「何を」といった情報が記憶されている。

海馬の仕組みとは?

理化学研究所 脳科学総合研究センター(埼玉県和光市)は、記憶の研究で最先端を行っている。

記憶研究のチームリーダーを務める、トーマス・マックヒュー博士(神経回路・行動生理学研究チーム リーダー。「場所細胞」研究の世界的権威)が紹介。

トーマス博士は、海馬の神経細胞の活動を音にしてリアルタイムで分析する方法を開発。一つ一つの神経細胞が活動する様子がわかるようになり飛躍的に研究が進んだという。

海馬の「場所細胞」とは?

場所細胞とは、記憶に重要な空間位置情報を認識する神経細胞で海馬の内部にあり、脳内のナビゲーションシステムのようなもの。

トーマス博士が行ったマウスの迷路実験では、海馬の場所細胞はマウスが休んでいるいる間に今まで来た道を何度もリプレイして記憶の固定作業を行っていることが解った。

意識的に「道を覚えよう」としなくても休んでいる時、勝手にリプレイして覚える作業をするという。この「リプレイ」は記憶の固定にとても重要な作業となっている。

海馬の「時間細胞」とは?

最近の研究では、海馬の中には「時間細胞」というものもあることがわかってきたと、井ノ口先生。

時間細胞とは、時間の経過を認識するための細胞。場所細胞と同時に働いて「いつ」+「どこで」という記憶として関連付けながら格納しているという。

重度のてんかん患者の「ヘンリーモレゾンさん」

1953年、アメリカ・コネチカット州で生まれた、ヘンリーモレゾンさん(当時27)は、重度のてんかんを持っていた。

当時決定的な治療法は無く、唯一の治療法が「海馬を切除」する手術だけだった。

主治医はやむなく海馬の摘出を決断。

手術後は、てんかんの発作が激減し手術が成功したかに思えた…。

しかし、担当の看護師の名前を何度も何度も尋ねるなど、わずか数分前の出来事を記憶することが出来なくなっていた。

だがよく調べると、自分の生い立ちや家族のことなど昔の出来事は完全に記憶に残っている。また、食事の仕方、歯磨きなど日常生活も難なくこなせた。

海馬の役割は「新たな出来事を記憶する」こと

ヘンリーモレゾンさんを調べることで海馬の役割が「新しい出来事を記憶する場所」だと判明した。

これは古い記憶が海馬以外の場所に蓄えられていることを意味する。

実は、古い記憶は「大脳皮質」に蓄えられている。脳の表面を覆う広い部分の色々な領域に分散して蓄積されているのではないかとラットの研究より明らかになった。

  • 新しい記憶 ⇒ 海馬
  • ↓ …転送… ↓
  • 古く大切な記憶 ⇒ 大脳皮質

つまり、新しい記憶を海馬がまず覚え、何度も繰り返して覚える重要な記憶は大脳皮質に転送されて残る。

海馬から大脳皮質に記憶が転送されることは以前から言われていたことだが最近、井ノ口馨さんによって海馬と大脳皮質間の転送システムの詳細が発見された。

この論文は世界的に権威のある「Cell」の表紙を飾り有名になっている。

井ノ口馨さんが目をつけたのは「神経新生」。神経新生とは、海馬に新しい神経細胞が生まれること。

神経新生が起きると海馬から記憶が消えてゆき、その記憶が大脳皮質に転送されてゆくという。

パソコンの容量が減った時に外付けハードディスクへデータを退避させるように、海馬の容量も限られていて一杯になったら、より容量の大きな大脳皮質に記憶が移動する仕組み。

神経細胞の数はそれぞれ以下のようになっている。

  • 海馬 … 約1億個
  • 大脳皮質 … 約100億個以上

転送が活発になるのは「寝ているとき」?

最近の研究で、海馬から大脳皮質により多く転送している時間帯が判明した。

それは「睡眠時」。

人は、寝ている時に海馬で起きたことを復習して大脳皮質に転送、記憶を固定化している。

よく寝たほうが成績が上がると言われていたのは本当のことだった。

年をとると「神経新生」のペースが落ちる?

若い時は神経新生が盛んで、新しいことを記憶してもどんどん大脳皮質に転送して海馬の容量を空けておくことが出来る。

しかし年をとると、新しいことを覚えても神経新生が活発に行われないため海馬の容量がすぐに一杯になってしまい覚えることが出来なくなってくる。

「年をとると新しいことが覚えられない」というのは、「神経新生」に原因があったようだ。

年をとっても大丈夫「神経新生」を促進する方法?

しかし、年をとっても大丈夫だと、井ノ口馨先生。

海馬の神経新生は促進できるという。

それは、「運動する」こと。体を動かすことによって神経新生は増え、2倍にもなるという。(マウスを使って実験する時も、マウスを回し車で運動させて神経新生を促進させている)

運動することで記憶力を保つことが可能だという。

井ノ口馨先生も、社交ダンスをして体を動かし、神経新生を促進していると笑う。

南沢奈央は、台本を覚える時にウォーキングに出るとなんとなく覚えが良いような気がすると話した。

記憶を人工的に操る!?

井ノ口馨さんの研究グループでは、「記憶を人工的に操る」研究も進んでいる。

一匹のマウスに「怖い部屋(足に電流が流れる部屋)」と「安全な部屋」を用意し、それぞれを体験させ脳に記憶させる。

そのマウスの脳に直接光ファイバー(オプトジェネティクス)をつなぎ、脳にある「怖い部屋」と「安全な部屋」の記憶領域を同時に刺激してやると「安全な部屋」の記憶が「怖い部屋」の記憶に書き換えられマウスは全く動かなくなるという。(=安全な部屋と怖い部屋の記憶が結び付けられた為)

「怖い部屋の記憶」と「安全な部屋の記憶」を同時に刺激すると「第三の記憶」の神経細胞が新しく生まれる。この第三の記憶を「連合記憶」という。

連合記憶が出来ると、「怖い部屋」を思い出すと同時に「安全な部屋」を思い出し、逆に「安全な部屋」を思い出すと同時に「怖い部屋」を思いだすという2つの記憶が繋がった記憶領域(連合記憶)が出来上がる。

つまり、全く関係のない記憶同士を人工的につなげることに成功したのだ。

連合記憶操作のPTSDへの応用

PTSD(心的外傷後ストレス障害)という疾患がある。

PTSDの患者は、大きなトラウマ体験と全く関係のない記憶が結びつくという特徴がある。

例えば、「地下鉄サリン事件」。被害に遭われた方の中には、地下鉄だけでなく乗り物全てに乗れなくなるという人も居た。

つまり、一般的な乗り物の記憶がサリンの記憶と結びついてしまった結果。

別のPTSD患者は「ラッシュアワーで事件が起きたため、雑踏が怖くなった…新宿にも銀座にも行けない」という人も居る。

こうした症状がPTSDの中核の症状になる。

井ノ口馨さんの研究では、無関係な記憶同士を人工的に結びつけることに成功していることから、この原理を逆に応用してくっついてしまった記憶を人工的に引き離すことも出来るのではないか?と考えているという。

将来的にはこうした技術も可能になるだろうと語った。

また、理化学研究所の脳科学総合研究センター長、利根川進(ノーベル賞受賞者)さんも、「うつ病」への応用もできないかと考えている。

将来、磁場などを精密にコントロールして特定の記憶がある神経細胞に当て刺激することができれば、PTSDやうつ病の根本的な治療ができるようになるかもしれない。

(以上「NHK サイエンスZERO 記憶のメカニズム」)

サイエンスZERO反響ツイート

https://twitter.com/bw8bit/status/772447265810022400

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