サイエンスZERO「マンガンノジュール発見」
2016年8月28日(日曜日)夜11時30分からNHK Eテレにて放送された「サイエンスZERO」は、ニホンが資源大国になれるかもしれない鉱床大発見の話。
南鳥島の海底から、広大な面積にたくさんのマンガンノジュール(泥団子のような形)やレアアースを発見した。
サイエンスZERO番組データ
【番組タイトル】 サイエンスZERO
【番組副題】 独占密着!海底に眠る巨大鉱床!
【放送日時】 2016年8月28日(日曜日)夜11時30分(30分)
【司会】 南沢奈央 竹内薫(サイエンス作家)
【スタジオ参加】 加藤泰浩(東京大学大学院工学系研究科教授)
南鳥島に巨大鉱床が!?
8月26日「JAMSTEC・東京大学・千葉工業大学共同記者会見」にて驚くべきニュースが発表された。
日本の領土の一番東にある南鳥島に巨大鉱床が眠っていることが解った。はたして日本は資源大国になれるのか?
NHKは、この調査へ同行。しんかい6500に乗り海底調査の様子を撮影した。
マンガンノジュールとは?
南鳥島の海底から発見されたのは、「マンガンノジュール」。
ノジュールとは、「かたまり」という意味で、「マンガンのかたまり」のこと。マンガンは2割で、ニッケルやコバルトも入っている。陸上ではほんの一部からしか取れないので、携帯電話やパソコンの部品として使われている。これらの殆どは輸入に頼っているため、安定供給ができればとても大きな資源となりそうだ。
2016年4月8日「航海初日」
2016年4月8日JAMSTEC(海洋研究開発機構)の調査船「よこすか」で南鳥島を目指した。目的地までは片道4日。
三週間に渡る調査の旅が始まる。地質学や海底資源の専門家が調査にあたった。
リーダーは、町田嗣樹(特任技術研究員・JAMSTEC)さん。
町田さんが、海底の様子を音波レーダーで調べた所、マンガンノジュールが敷き詰められた場所があることを発見。その分布範囲を潜水艇を使って実際に肉眼で観察しようと言う試み。
町田さん自ら、潜水服を着てしんかい6500に乗り込む。合計三人で8時間の作業。
予想を超える量のマンガンノジュールを発見!
調査した範囲はおよそ4km、びっしりとマンガンノジュールの畑が続いていた。
資源の全体量は、マンガンノジュールはおよそ2億トンあると予想される。
なぜマンガンノジュールが丸いのか?
しんかい6500についたマニピュレーターを使い、海底のマンガンノジュールを100個以上採集した。この日潜ったのは、安川和孝助教(東京大学)。
ノジュールを真っ二つに切ってみると、中心に石がある。その固い石を核としてまわりに金属を沈着しながら大きく丸くなる。
直径10cmののノジュールになるには、数百万年から数千万年かかるという。
南鳥島周辺にある多くの海山(かいざん)が干渉して速い海流を生み出し、その海流がノジュールの丸い形を形成する。
雪だるまのような形や、じゃがいものような形をしているノジュールもある。
内部の核の形によって様々な形状のノジュールが作られる。核になるものには「鮫の歯」「火山角礫岩(岩石)」がある。
ノジュール以外のさらなる宝物を発見!
研究者のひとり、藤永公一郎さん(千葉工業大学 上席研究員)は、「レアアース泥」に注目していた。
レアアースとはスマホなどに必要な原料で、ハイテク産業的に価値の高い17種類の元素の総称。(現在は中国が独占している)
- スカンジウム
- イットリウム
- ランタン
- プラセオジム
- ネオジム
- プロメチウム
- サマリウム
- ユウロピウム
- ガドリニウム
- テルビウム
- ジスプロシウム(特に今回の発見で注目)
- ホルミウム
- エルビウム
- ツリウム
- イッテルビウム
- ルテチウム
しんかい6500を使ってレアアースが高濃度に存在する場所を探りだす。
海底の泥のサンプルを採取し内部を観察。
すると、「ジスプロシウム」などの価値の高いレアアースがあった。
排他的経済水域内に、1500ppmや一部では7000ppmもの高濃度レアアース泥が存在しこれは、中国で生産している量の20倍から30倍となる。
量は「数万年分もある」という。
なぜ南鳥島にレアアースが集中したか?
南鳥島は、太平洋プレートの西の端にある。プレートは東の端から徐々に移動し西の端へ到達する。
南鳥島は、プレートの終着点になっている。
そのため1億年という長い時間をかけてレアアースを貯めこみながら今の場所(日本の排他的経済水域内)に移動してきた。
「資源が向こうからやってきてくれたんですね。ありがたいですね」と南沢奈央。
南鳥島には、マンガンノジュールとレアアース泥のダブル資源がありとても美味しい島ですねと加藤先生。
2つの海底資源 活用の道は?
実際に、資源を活用してゆくには技術開発が必要。
泥を海底から引き上げる技術は、深海の石油掘削技術を応用する。石油掘削の場合は3000m位だが、レアアースなどは5700mを超えるため技術開発がとても重要だという。
資源がない国というイメージがあった日本だが、これからはこれらの眠っている資源を開発すれば、資源大国になるかもしれないと竹内薫が語った。
サイエンスZERO反響ツイート
海底のノジュールの下30cm付近にレアアース泥
— いやよ (@iyayo_184) 2016年8月28日
ジスプロシウムは産業的に有価値な希少金属 南鳥島の海底だけで数万年分あると推定#サイエンスzero
レアアース泥(でい)の発掘、どこにあるのかを調査。 結果、産業上ジスプロシウムが高濃度で出てきた! 中国の陸上産の20〜30倍の濃度。高いところは7000ppmぐらいの高濃度で発見されている #NHK
— kibunya16 新居暮し (@kibunya16) 2016年8月28日
低い所でも3000ppmのレアアース泥が発見され、ジスプロシウム等が入ってる #NHK
— kibunya16 新居暮し (@kibunya16) 2016年8月28日
南鳥島の周辺海底にマンガンノジュールやレアアース泥があることが確実になった。ところが深さが6000m近くある。現在の海底油田の技術は3000mほどなので、まづは対応できる技術開発が必要だ。
— ぽち (@4444pochi) 2016年8月28日
南鳥島近くのEEZ内深海底で、大規模マンガンノジュール発見。コバルトの量は、日本での消費量の1600年分にも。採取する技術は未確立。
— 吉田康一郎 (@yoshidakoichir1) 2016年8月29日
我が国と世界の大切な資源です。無茶をする強盗団がすぐ近くにいますので、大切に守りましょう。領海内の赤珊瑚も守れない政治では駄目です。
サイエンスZEROの巨大鉱床の放送を見ました(マンガンノジュール) トリュフみたいな形してるんだね。。笑 あんなにゴロゴロと海底に転がっているとは。。想像と違った。
— 麦茶 (@mugiwiz) 2016年8月29日
次回の「サイエンスZERO」は…
次回のサイエンスZEROは、「記憶のミステリー」。最新科学が解き明かす記憶の正体とは?
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