きょうの健康みどころ
2015年9月25日(金曜日)放送の「きょうの健康」は、脳卒中5つの症状を知るの1日目。4,5年前に脳卒中となった麻木久仁子さんを迎えて、高木誠先生がスタジオに出演。脳卒中のタイプや代表的な症状、早期発見のための確認方法などを紹介した――
きょうの健康出演者一覧
【司会】 桜井洋子(NHKアナウンサー)
【ゲスト】 麻木久仁子
麻木久仁子は脳卒中になった経験がある。
「4,5年前に或る日いきなり右腕と右足がしびれがあった。しびれの状態は1回30秒のしびれを数回。すぐに収まるのでなかなか病院には行かなかったが、症状が出て4日後、症状が出だすと家の鍵を開けることも出来なくなってしまう…これはおかしい…と診察を受けたところ脳に小さな脳梗塞を発見。いまは全く後遺症もなく回復しているという。
スタジオ解説 神経科・脳卒中専門「高木誠」医師
高木誠(東京都済生会中央病院院長 神経内科)先生がスタジオに登場し解説した。高木先生の専門は神経内科・特に脳卒中が専門。
(きょうの健康2015年10月号では、33ページから特集が組まれています)
脳卒中の3つのタイプ
「脳卒中」は一つ種類の病気ではなく以下の様な3つのタイプがあります。治療を受けている脳卒中の患者数は現在約120万人~130万人。年間で脳卒中を発症して亡くなる人は、11万人以上にもなる。
また一命を取り留めた場合も約7割に後遺症が残ってしまうとこの事。
(1)脳梗塞 … 脳の血管が詰まる病気、血が行かなくなってなってその部位の細胞が死ぬ
(2)脳出血 … 脳の中の細い血管(毛細血管)が壊れ出血、その血液が固まり「血腫」が出来る事で脳を圧迫し神経細胞が破壊される。高血圧と関連があると言われている
(3)くも膜下出血 … 脳の血管に出来てしまった「脳動脈瘤」のこぶが破裂すると出血が脳の表面に出血し脳全体を覆う。そのため広範囲に脳を圧迫し、脳卒中の中で最も死亡率が高い病気
脳卒中の代表的な症状
脳卒中の症状として、半身のしびれ、突然の激しい頭痛などがあります。また、病気になった後は以下の様な症状が現れることがある。
- 後遺症が残る人 7割
- 寝たきりの原因 第1位
- 認知症になりやすい
47歳の男性の体験談(坂田さん)
鼻の奥の方で何か液体が流れるような感じがした。最初は鼻血かと思ってティッシュで拭くがなんともない。
しばらくして力が入らなくなりソファーから崩れ落ち、気がついた時には床に寝ていた。
左側の腕、足などは全く動かないと分かり電話をしたがしゃべれない。
マンションのエレベーターまで這ってたどり着きたまたま同乗した男性が救急車を呼んで助けてくれた。たまたま通りかかった男性が居たから良かったと麻木久仁子さん。
坂田さんは、高木さんの病院に運ばれた患者さん。その後は非常に経過も良くリハビリなども意欲的に行った結果現在は後遺症もなく生活している。
脳卒中&脳梗塞によくある症状
一番多い症状は、「半身のまひ・しびれ(手足や顔)」…出血が脳の片側に起こるので運動神経と感覚神経に麻痺が起こり体の半分に起こる。「きれいに半分(に麻痺)でした」と麻木久仁子さん。
ろれつがまわらない。言葉が出ない…大脳の運動神経が障害されれば、口の中の筋肉や舌の筋肉が麻痺してうまくしゃべれない。また、言語中枢の障害されると言葉自体が出てこない”失語症”になる。
立てない歩けないふらふらする…小脳(身体の平衡バランスを司る脳)の障害。
両目で見ても片目で見ても視野の同じ側の半分が常に欠ける…きれいに半分見えない状態は視覚中枢&眼球運動神経の障害。緑内障でも視野が欠けるが片方の目だけ視野が欠ということはあるが、両目同時に起こることは通常はない。
また、眼球運動神経が傷害された場合は、物が二重に見えるようになる。
突然の激しい頭痛 … くも膜下出血の場合はバットでいきなり後ろから殴られたような激しい頭痛が起こるとよく言われ、「これまでの人生で最悪の頭痛だ」と話す人も居るくらい痛みが強い。
脳卒中を確かめるには
脳卒中が重いほど意識ももうろうとしてくるが、意識障害がない脳卒中もあるので正常であっても安心は出来ない。
以下に脳卒中を確かめる方法を紹介。
脳卒中かどうか判断する場合は、顔(Face)、腕(Arm)、言葉(Speech)の3つをチェック。アメリカではこれらに時間(Time)を足して「FAST」が大事と言われている。
- 顔の麻痺 … 笑顔を作って口がゆがまないか。左右対称にしわが寄っているかをチェック
- 腕の麻痺 … 両手を前に突き出し目をつぶると片腕が意思に反して下がってこないかチェック
- 言葉の麻痺 … 「らりるれろ、ぱぴぷぺぽ」「今日はとても良い天気です」など決まり文句を喋ってみる。麻痺があれば簡単な決まり文句が言えなくなる
前兆を見逃さず救急車を呼ぶ
脳卒中は一刻を争うため早急に治療を開始したい。躊躇せず救急車を呼んだ方が良い。
特に脳梗塞発症から4時間半以内の場合は「t-PA(ティー・ピー・エー)」という新しい治療法も受けることが出来る。
TIA(一過性脳虚血発作)とは?
Aさんは、夕食時に箸が上手く持てなかったがすぐに回復した。これは「TIA(一過性脳虚血発作)」という症状で一時的な軽い脳梗塞のこと。脳の血管に一時的に血栓が貯まり症状が出る。
一旦は収まるが、本格的な脳梗塞の前兆になる。TIAを起こした人の3割から4割が脳梗塞を発症すると言われています。
TIAの場合は、収まってもその日のうちに救急外来にすぐに相談することが肝心。
脳梗塞の5つの症状を知る事と、疑いがあればすぐに救急車を呼ぶ事が大切。
(※今回の放送は「きょうの健康」テキスト10月号に掲載)
次回9月29日(火)「きょうの健康」よる8時30分Eテレ
次回のきょうの健康は、脳卒中 徹底解説「脳梗塞の治療」。
前回の「きょうの健康」は…
前回のきょうの健康は、まとめ製作中です