2015年6月30日(火曜日)の『クローズアップ現代』は、超早期に発見出来るがん検査法について。唾液や呼気、血液のマイクロRNAによる精度の高い発見法が日本の国家プロジェクトとして開発されていますーー
クローズアップ現代 出演者
【司会】 国谷裕子
【スタジオゲスト】 北島政樹さん(国際医療福祉大学学長)
わずか1滴の血液でがんを早期発見
国立がん研究センター(東京築地)では、わずか1滴の血液でがんを発見する検査方法が開発されている。
夢のような診断法の開発を主導しているのは、落谷孝広プロジェクトリーダー率いるセンターの国家プロジェクトチーム。チームには9つの大学の3つの民間企業が結集。
鍵となる「マイクロRNA」
がん細胞は、生まれた瞬間から癌の部位によって異なる特有のマイクロRNAを発生している事が最近の研究でわかっている。
この血流に流れるマイクロRNA(タンパク質複合体)を捉えることが出来れば、レントゲンなどにも現れない小さなガンの存在を発見可能だという。
この技術は4年後までに「食道癌・肺がん・肝臓癌・胆管癌・前立腺癌・肉腫・神経膠腫・乳がん・胃がん・すい臓癌・膀胱癌・卵巣癌」の特定が出来るようになり、すでに乳がんについては確立している。
がん細胞が免疫回避のために放出するマイクロRNAを検出することで、がんを早期発見する技術か。クローズアップ現代。
— しかのつかさ (@sikano_tu) 2015年6月30日
手のひらのにおい成分で癌発見
東京医科歯科大学では、手のひらから、しみ出している特殊なにおい成分を感知してがんを早期発見するシステムも作られている。
探嗅カメラ(たんきゅうかめら)という装置を利用し手をかざすだけで生体ガスを可視化するシステムが出来ている。
開発したのは、東京医科歯科大学の三林浩二教授。
唾液を使った臨床研究
さらに唾液を使った臨床研究も始まっている。
東京練馬区の「大泉中央クリニック」では、これまでに400人の唾液を採取、慶應義塾大学 先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)の杉本昌弘特任准教授チームに送り、アミノ酸や糖などの成分を最新の質量分析計にかけて分析する。
現在早期発見が難しい、すい臓癌などの早期発見が出来るという。
東京医科大学兼任教授の砂村眞琴医師によると、この唾液検査により70代のごく初期の大腸癌を見つけ内視鏡による日帰り手術で切除することが出来た。
ただし、まだ病理との付け合わせは出来ていないので確実ではないが、データがさらに増えれば正確性も上がると話した。(病理とビッグデータのすりあわせ)
手軽に受けられる一方で戸惑う場合も…
広島の日下医院(内科・循環器)では、マイクロRNAによる検査(検査は、広島大学のベンチャー企業MiRTeL)を行っている。河田さんは3万円の料金を支払って検査を受けた。
1週間後、河田さんの結果が出てすい臓癌が疑われたが超音波検査で見つけることが出来なかった。
がん細胞があると知りながらすぐに治療が受けられないもどかしい状態になった河田さん、生活習慣に気をつけながらの日々を送る。
検査に関わる大学教授や医師はこれから増える患者との接し方を模索していた。
また、アルツハイマー病の発症リスクを伝えられても防ぐ方法が難しいという問題などもあり今後のインフォームドコンセントが問題点になっている。
クローズアップ現代関連商品
スタジオのゲスト、北島政樹先生の著書。
21世紀の医学―最先端技術と人に優しい医療 (Keio UP選書)
- 作者: 北島政樹,永田守男
- 出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会
- 発売日: 1998/11
- メディア: 単行本
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