今回のドクターGは「お腹が痛い」…
2015年12月3日(木曜日)放送の「総合診療医ドクターG」は、腹が酷く痛む。亡くなった阿藤快さんも出演。最終診断は「膿胸(胸膜炎)」だった。特徴的な症状は、発熱、腹の痛み、息を大きく吸うと痛みがあるなど。原因は歯を磨かない習慣だった——。
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総合診療医ドクターG出演者一覧
【番組タイトル】 「腹がひどく痛む」
【司会】 浅草キッド(水道橋博士 玉ちゃん)
【ゲスト】 阿藤快(9月20日に収録・11月14日に死去されました) アンミカ
【ドクターG】 上田剛士(京都府洛和会丸太町病院・救急総合診療科)
【研修医】 田代和馬(沖縄県立中部病院) 藤野佐保(東京都立墨東病院) 篠田明紀良(愛知県刈谷豊田総合病院)
11月14日に亡くなった阿藤快さんの発言
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(阿藤快さんは、この収録の2ヶ月後に胸部動脈瘤破裂で亡くなっています。死の直前「背中が痛い」と仰っていたことがわかっています)
「背中こうして…痛いっていうとなんかちょっとわかんない血管系の病気かどっかかな?と言うね」(その後背中を何度も揺する阿藤快さん)
顔色などは悪くはなく普通に会話しておられます。番組の途中には、亡くなった原因である動脈瘤破裂の話も出ました。背中の痛みと血管系の病気を繋げておられたので背中の痛みやご自身の血管の病気については収録時(9月)には何か気になることがあったのかもしれません。
Fさん58歳に起こった事
(ドラマは実際にあった症例を元に再現)
Fさんは58歳、漁師。体力には自信があり大病や手術をしたことがない。高血圧と糖尿の疑いがある。
漁の最中、魚が大量に入った重い網を持ち上げた直後にお腹の激痛により沖で倒れた。
- 歯を磨かない人
- 右下腹部のひどい痛み(おへその右横あたり)
- 意識レベルはハッキリとしていた
- 腹痛は朝起きた時にあったがその後も元気がない
- ずっと冷や汗をかいている
- 数日食欲がない
- 大きく吸い込んだときに痛みがある
腹膜刺激兆候があるかないか?
- 腹膜刺激兆候(お腹を強めに押す時の痛み・腹部が少しでも動くと痛がる)はあまりない(盲腸の場合は激しく痛む)腹膜は、腸などお腹全体の臓器を包む膜で臓器に何かあると臓器本体よりも腹膜が痛くなる仕組みになっている。
腸に穴があいたり盲腸だったり腹膜刺激兆候のある場合は「外科腹(げかばら)」といって緊急的に外科手術が必要になる場合が多い。
腹膜刺激兆候の有り無しで原因を大きく絞り込む判断材料になる。
研修医達の診断
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上腸間膜動脈塞栓症
上腸間膜動脈塞栓症は、大動脈から大腸や小腸に酸素と栄養を送る動脈(血管)に血栓が詰まってしまう病気。
突然詰まって発症するのが特徴的で激しい腹痛や冷や汗が出る。
腎血腫
腎臓に血の塊=血腫が出来てしまう病気。
腹痛や背中の痛み、ふらつきなどの症状がある。
肺外結核
肺の外で発症する結核。
肺の結核菌が体の別の部分に運ばれて結核を発症する。腸や骨、関節に痛みが出る。
大動脈解離
大動脈は、腹膜の後ろにあるので問題があっても「腹膜刺激兆候」は現れない。
大動脈解離は、大動脈の内側の膜が裂け血流が妨げられる病気。
激しい痛みをともない、冷や汗もでる。(発熱はない)
腹部大動脈破裂
腹部大動脈破裂は、腹部大動脈に出来たこぶ(大動脈瘤)が破裂。
激しい痛みと冷や汗がでる。(発熱はない)
結核性腸腰筋膿瘍
結核菌が腰などで腰痛や背中の痛み、発熱を起こす病気。
腸腰筋に結核が感染すると膿の塊「膿瘍(のうよう)」が出来ることがある。
腸結核
腸結核は、腸に感染する肺外結核のこと。多くは小腸と大腸の繋がる部分(回盲部)で起こる。
右下腹部の痛みや発熱が特徴的。軽度の場合は腹膜刺激兆候がないこともある。
横隔膜膿瘍
結核菌が横隔膜に感染し膿ができる。呼吸すると腹や胸が痛む。発熱や寝汗。
感染性心内膜炎
心臓の内側の弁に細菌が感染。息切れや胸の痛みが起きる。
最近の塊は血流に乗って、足や脳など様々な場所で症状が現れる。肝臓の血管に詰まると膿瘍(膿)が出来る。
歯を磨かない人など口の中が汚い人は「感染性心内膜炎」が起こりやすい。
ドクターGの最終診断「膿胸」
関連痛(痛みが本体とは違う場所でおきること)によって、下腹部の痛みが実は肺の痛みであることが判った。
最終診断は「膿胸(のうきょう・胸膜炎)」
肺の内側で細菌感染による膿が溜まっていた。(歯を磨かないことが原因)
「膿胸」は比較的よくある病気で、抗生物質により治すことが出来る。
次回のドクターGは「足がつる」
次回の総合診療医ドクターGは、「足がつる」。患者は就職活動中の大学生。