NHKスペシャル巨大危機4「地震」
2017年1月22日(日曜日)夜9時に放送された「NHKスペシャル メガクライシス巨大危機4」は、巨大震災による大火災の発生について。
迫りくる次の巨大地震……。その揺れが収まってから襲う「地震大火災」その本当の恐ろしさを私たちはまだ知らない。研究者たちが起こりうる最悪のシナリオに迫る。
NHKスペシャルメガクライシス番組データ
【放送日時】 2017年1月22日(日曜日)よる9時(50分)
【放送局】 NHK総合
【番組副題】 (シリーズ MEGA CRISIS#4) ”地震大火災”があなたを襲う ~見えてきた最悪シナリオ~
【ナビゲーター】 有働由美子
【スタジオゲスト】 東京理科大学教授 関澤愛
【語り】 武田真一
明日巨大地震がやってきて火災に巻き込まれるかもしれない?
去年12月22日に発生した新潟県糸魚川市での火災。たった1箇所の火災から瞬く間に大きな火災へと広がった。
地震の時にはそんな火災があちこちで同時に発生する。そんな火災に明日巻き込まれるかもしれない……。
阪神・淡路大震災でもしも強風が吹き荒れていたら…
東京六本木ヒルズ。去年11月に各国を代表する火災の研究者たちが集まった。
建築研究所の主任研究員、岩見達也さん。
22年前の1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災について改めて検証中だ。
地震発生の当日神戸市だけで109件の火災が同時多発的に発生した。火災が収まったのは数日後、7000件以上が焼け400人以上が遺体で見つかった。
辺りは戦争の焼け野原のよう。
しかも、条件によってはさらに被害は広がっていたと言う。震災の前日までは風速10メートルの強風が吹き荒れていたが震災の当日には無風(風速3メートル)のような状態となっていたためだ。
岩見達也さんは、コンピュータシミュレーションによって神戸市長田区一帯を再現、もしも震災当日に強風(風速15メートル)が拭いていたらどれほど被害が拡大したか?を計算した。
1923年9月1日に発生した「関東大震災」では風速15メートルの強い風(台風の影響だった)が吹き荒れ瞬く間に辺り一帯は火事となり9万人が火災によって死亡したと言う。
この関東大震災と同じ規模の風がもしも阪神・淡路大震災のときにも吹いていたら……というコンピュータシミュレーションを行うと、神戸市長田区の被害は4倍の面積に膨らんでいただろうという計算結果が出た。
地震発生直後は、気が動転したり、建物の下敷きになったり、他の人を助けたりしていてすぐに避難を開始できない。その結果想定される死者は3000人にもなるだろうという。
避難場所周辺が最も危ない!
東京大学生産技術研究所准教授の、加藤孝明さん。
加藤さんは火災の発生場所で生死を分ける場所があるという。首都直下型地震の火災で住民がどう避難するかを3000パターンをシミュレーション。
その結果、「避難場所近くの入り組んだ路地」が最も危ない。
という計算結果が出た。
その理由は、大震災後、避難場所周辺の道路は多くの避難住民でごった返し後へも先へも進めないうちに炎や煙に巻かれるケースが想定されるからだ。
加藤孝明さんは、避難場所周辺の市街地を燃えにくくしたりして出荷確率を下げる工夫を急がねばならないと語る。
地震直後は、高いところに登り火災の発生状況を観察するだけでいつ逃げればよいか知ることができる。また、高齢者など素早く逃げるのが難しい人々は空振りでも良いので常に早めに避難することを心がけたいと、スタジオゲストの関澤愛教授が語った。
スマホを使った災害情報の共有
東京工業大学の大佛俊泰さん。
大佛俊泰教授は、情報の力で命を救う工夫を考えている。
首都直下型地震では至る所で家屋が倒壊したり火災が発生して特に入り組んだ住宅密集地では避難することができなくなる。
そこで、大佛俊泰さんはスマートフォンのアプリを使って家屋倒壊の位置情報を登録してもらうシステムを構築。ただし、実際に巨大地震直後にこれらのアプリを使って被害状況を登録するかどうかわからない……という欠点も浮かび上がる。
感震ブレーカーによる出火対策
感震ブレーカーとは、地震の揺れで自動的にブレーカーを落とす装置。
地震で倒れた電気ストーブなどの電源をいち早く消すことができる。
自治体などでこうした機能が付いたブレーカーを導入してほしいと関澤愛教授。それ以外にも誰にでもすぐに取り組める対策のまず第一歩を踏み出して欲しいと語った。
石油コンビナートでの大規模火災
2011年3月11日の東日本大震災。
千葉県の石油コンビナートで大規模な爆発火災が起きた。
爆風は3km以上離れた市街地にも及び8万人に避難勧告が出た。
この時、コンビナート火災を専門に消火活動を行う「海上災害防止センター」が活躍した。
海上災害防止センターの清野成直さんは当時の状況を語る。震災発生当日、ガスタンクには検査のための水が満タンに入っていた。
その水の重さで地震の揺れに耐えきれなかったタングが崩壊、ガス管が壊れ吹き出したガスに引火、その火で熱せられた他のガスタンクが大爆発を起こしたのだと言う……。
火災が消し止められたのは実に10日後だった……。
海上災害防止センターの、荻原貴浩さんはもしも当時はざ向きが反対側だったら恐ろしい規模になっていただろうと当時を振り返った。
油津波による大規模火災
また、気仙沼市では津波によって大量の油が海上に流出し海の上で大規模な火災を引き起こした。
大阪大学名誉教授の、加藤直三さんはこうした津波に寄る火災によって起こる新な大火災も想定されると言う。
大阪大学大学院工学研究科の、牧野秀成さん。
AISという船の位置情報のデータから石油タンクを乗せた大型船が震災発生当日コンビナートを迷走する様子を捉えた。
こうした大型船がコンビナートに乗り上げて大規模火災を引き起こしたかもしれないと語った。
南海トラフ巨大地震では、大阪湾の石油コンビナートが危ないという。
なかでも……
- 大阪北港地区 … 27000キロリットルの油の流出
- 堺泉北臨海工業地帯 … 最大17000キロリットルが溢れ出る可能性
2つを合わせても4万4千キロリットル。気仙沼市で海に流出した油の4倍の量となる。
この油は地震発生のおよそ2時間後にはJR大阪駅やなんば駅まで達し、そこで大規模な市街地火災を起こす可能性がある。
そこで番組が最悪シナリオを映像化。震度6強の地震で湾岸の石油コンビナートから流出した油が津波によって地上に達し、そこに漏電などで火が付き大阪の中心地が火の海に包まれる映像が紹介された。
加藤直三教授(大阪大学)は、こうした地震火災を食い止めるための対策も考えている。
それは「油分散剤」を使って油に火がつかないようにする方法や「フレキシブルパイプ(パイプ状の防波堤)」を使って津波の力を分散する方法などが考えられている。
最悪シナリオでは、津波火災の場合は6階以上の高さのビルに避難するのが望ましいと関澤愛教授。
大火災に至る前にいまも防災のための技術や戦略は練られている。地震火災から命を護るために最前線では炎との闘いが続いている。
NHKスペシャル「メガクライシス4」反響ツイート
日曜にNHKスペシャルでやっていた津波と火災の特集、現実に気仙沼や千葉の製油所で起きた様な大規模火災が大阪市の中心部で起きる可能性があると言う指摘。普通に考えればこのままでいい訳が無いよなぁ。
— コンタ好き (@SwingGitane) 2017年1月23日
次の巨大地震で、想定を超える“#地震大火災”が日本を襲う!?最新シミュレーションによる「最悪のシナリオ」を映像化。その本当の脅威とは?≪#NHKスペシャル #メガクライシス 第4集≫#NHKオンデマンド で配信開始 https://t.co/NOiXZoIT5z
— NHKオンデマンド (@nhk_ondemand) 2017年1月24日
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