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反響要約 NHKスペシャル 私たちのこれから「健康格差 あなたに忍び寄る危機」▽自己責任か?社会構造か?【2016年9月19日(月)放送内容反響ツイート】



NHKスペシャル「健康格差」

2016年9月19日(月曜日)よる7時30分からNHK総合にて放送された「NHKスペシャル 健康格差あなたに忍び寄る危機」は、健康格差問題について。

自己責任とされてきた健康。実は地域や労働形態など社会状況によっても左右される事がわかってきた。健康格差がなくなればなんと5兆円(消費税2%分)が浮く試算もあるなど効果は絶大だという。

NHKスペシャル健康格差番組データ

【放送日時】 2016年9月19日(月曜日)よる7時30分(75分)
【放送局】 NHK 総合(NHKG)
【番組副題】 わたしたちのこれから(Our Future)  #健康格差 あなたに忍び寄る危機
【司会】 三宅民夫 桑子真帆 山里亮太(南海キャンディーズ) 鎌田實(医師・諏訪中央病院名誉院長) 
【ハッシュくん】 緒方恵美(キャラクターボイス)
【スタジオゲスト】 福田萌 デーブ・スペクター 風間トオル ほか
【スタジオゲスト】 藤田孝典(NPOほっとプラス代表理事) 阿部彩(首都大学東京教授・子ども若者貧困研究センター長) 近藤克則(千葉大学教授 国立長寿医療研究センター部長) 井出英策(慶應義塾大学教授) 佐藤敏信(日医総研 主席研究員 元厚生労働省健康局長) 平野啓一郎(小説家) ほか

週刊東洋経済 2016年7/2号 [雑誌](健康格差)

週刊東洋経済 2016年7/2号 [雑誌](健康格差)

 

健康クイズ!「健康格差」

番組冒頭は健康クイズから始まった。

  • 「低所得の人の???は、高所得の人のおよそ3倍(JAGESプロジェクト2008より)」 … (答え)??? ⇒ 死亡率。

実は所得だけでなく、地域、雇用形態、家族構成などでも死亡率に違いがあることがわかってきた。これを「健康格差」という。

日本の地域による健康格差とは?

例えば、東京の杉並区(男:83.19歳、女:86.06歳)と足立区(男:81.44歳、女:84.42歳)だけで2歳も寿命に差がある。

また日本全国の長寿ランキングでは…

  • 1位 … 男「山梨県」、女「山梨県」
  • 2位 … 男「沖縄県」、女「静岡県」
  • 3位 … 男「静岡県」、女「秋田」
  • 47位(最下位) … 男「徳島」、女「大阪」

となる。なんと1位と最下位の差は「3歳以上」にもなっていた。

雇用形態による健康格差とは?

雇用形態による健康格差もある。

「正社員」よりも「非正規雇用」の人のほうが、糖尿病の合併症(網膜症)の罹患率が1.5倍も高い。(全日本民医連暮らし・仕事と糖尿病調査班 2014より)

ハーバード大学公衆衛生大学院のイチロー・カワチ教授も警鐘を鳴らす。日本の健康格差をこのままにしておくと日本の長寿大国の地位が危ぶまれるという。

いっぽう日本政府も健康格差の縮小を第1の目標に挙げすでに取り組みをはじめている。

もしも健康格差を解消できれば、消費税2%分の社会保障費(医療・介護)を削減可能という資産もあり、その額-5兆円!(※年間)

どうして糖尿病が悪化?

金沢市の内科医、莇也寸志(あざみ やすし)先生がVTR出演。

ある日、2型糖尿病(生活習慣で防げる糖尿病)の合併症で歯がボロボロの患者がやって来た。しかもまだ二十代だという。最近こうした若い世代の糖尿病が立て続けに診察にやってくるようになった。

莇先生は、「これは何かあるのでは?」と周りの病院に協力を依頼して、患者の生活環境について調査。

すると、糖尿病の悪化する若い世代に「非正規雇用」という共通点が見つかったと言う。

例えば、47歳のみゆきさんは15年間の非正規雇用の末、現在は数カ月後には人工透析が必要という重症の糖尿病を患っていた。

その生活環境は…

  • ひとり暮らし
  • 15年間、仕事を転々としながら働いてきた
  • 直近は検品の仕事で就労時間が不規則
  • 食事は買ってきた弁当で済ます
  • 定期的な健康診断を受けなかった(仕事が短期が多いため)
  • 精神的ストレスをずっと感じていた

その結果、36歳で糖尿病になった。さらに41歳のときに合併症を発症している。

なぜ、非正規雇用だと糖尿病が重くなるのか?

  • 通院で仕事を休む必要がある(=病院に行くのが億劫)
  • 食事のバランスが上手く取れない(=健康意識が全くない。重要と考えていない。知識がない)

などが原因と考えられる。

さらに別の例で、71歳の栗原さんは年収180万円。

背骨の圧迫骨折を重ね、痛みに苦しんでいる。

家庭医療専門医の、増山由紀子先生によれば、圧迫骨折の原因は食生活にあるという。限られたお金の中で生活するにはどうしても食費が切り詰められるという。

また低所得者は、「コメ」「パン」など炭水化物が中心の食生活になりやすく、肉などのタンパク質やビタミンが摂れなくなる。

年収200万円未満の野菜摂取量は、年収600万円以上の人のよりも2割も少ない。(※国民健康・栄養調査 厚生労働省 2014)

https://twitter.com/JohnFCandy1/status/777821476347011072

所得による健康格差は子どもにも及ぶ?

経済的にゆとりのない家庭は、インスタント食品(カップ麺など)、お菓子などがより多く食べられる傾向がある。

魚、大豆製品、野菜の量が少ない。

さらに所得の少ない家庭は、肥満が多く、運動習慣がない、虫歯が多いなどの問題を抱えている。また、古いアパート暮らしは子どもの喘息の原因となっている場合も…。

WHOでは、健康格差が世界的に広がっていると指摘?

健康格差は世界的な問題と認識されてきた。健康格差を生み出す原因は以下の4つに分類される。WHOは、これらの原因を社会構造からアプローチできないか考えていた。

  1. 所得
  2. 地域
  3. 雇用形態
  4. 家族構成

健康管理は自己責任だ!

しかし、「健康管理は自己責任だ」という議論ももちろんある。以下のようなスタジオからの意見が出た。

  • 低所得でも健康管理は出来る!
  • 心臓を悪くしたことがあるが、食生活を変えた。自己管理が出来ない人は駄目
  • (風間トオル…自己管理が出来るという人たちへの反論として…)子供の頃は貧乏で生えている草も食べた。子どもは国の力を借りることも出来ないし(親の意識に左右されるから)子どもには罪はない
  • お金がないと定期的な診療を受けることが出来ない

今、日本人の所得は年間1500万円も落ちた。これが落ちなかったら私たちは1500万円で健康管理に関する色んな対策が打てたという、井出英策慶應義塾大学教授の意見も。

元厚生労働省の、佐藤敏信さんは、国も大きなテーマとして認識はあるという。

番組視聴者のアンケート結果では、「自己責任」が42.4%、「社会問題」が57.6%で僅かに健康は社会問題にあるという人が過半数を超えた。

住んでいる場所によって健康格差が?

国立がん研究センターが「住んでいる場所によるがんの罹患率が判明した。」

  • 食道がん罹患率 … 1位「秋田県」、46位「沖縄県」47位「滋賀県」(お酒の量が関係)
  • 胃がん罹患率 … 1位「秋田県」、46位「鹿児島県」67位「沖縄」(日本海側で高い、秋田は塩分摂取量が高いのが原因とされる)

秋田県の塩分多めの食習慣は、コンビニにまで影響を与え「ぼだっこ(塩辛い鮭)」という塩分の多いおにぎりまで販売されている。また、タニタ食堂では全国で秋田県だけ醤油が足りないというお客さんのために醤油を別に出していた。スーパーでも味の薄いものは売れない。

こうして、秋田県では社会全体で普段の食生活への塩分が増えてゆくのだ。

ゲストの福田萌も東北(岩手)出身で濃い目の食生活だった。つい家庭の味にすると塩分が多くなると笑った。

もはや個人の健康意識に頼るだけではどうしようもない事態に……。

イギリスでは健康格差の取り組みが成功

イギリスでは、健康格差に取り組み8年間で4割もの「虚血性心疾患」「脳卒中」による死亡者数を減らすことが出来た。

イギリスが国ぐるみで取り組んだのは「塩」。塩のとり過ぎは高血圧の原因となり「心疾患」となる。

イギリス食品基準庁は、主食である「パン」の塩分を(CASH・塩と健康国民運動の助言を元に)「ゆっくり下げる」ことで減塩を実現させた。

塩分を長期間でゆっくり下げれば、食べている人は20%も減塩された事にほとんど気づかない。人間はたった6週間で薄味にも慣れてしまうという。

こうした減塩政策が功を奏し、心疾患などの医療費が年間2,000億円削減できたと言う。

東京足立区では「いつの間にか健康に?」

東京足立区は、かつて23区の中でもっとも低所得世帯が多かった。その影響か健康格差も大きく糖尿病の患者がとても多い。

そのため悪化した患者の人工透析が増え、社会的な負担も増した。通知などの啓蒙活動を続けていたが従来のやり方では効果がなかったという。

そこで区が取り組んだのは飲食店やスーパーに協力を依頼。「知らない間に野菜から先に食べる仕掛け」を始めた。

野菜から食べると血糖値の急上昇を抑えることが出来る。

そこで、各飲食店で一番最初にお通しとして野菜を先に出し、あとで注文した物を提供したり、焼き鳥などは野菜の注文があった場合は必ず野菜を先に出すというルールを各飲食店で実践してもらった。

スーパーではお惣菜の野菜を何割か増やすようにした。協力店は協力費などは出ないが区のホームページで宣伝してもらえるのでお客さんも増えるという仕組み。

www.city.adachi.tokyo.jp

お客さんが意識しないうちに糖尿病の予防になっていると言う。

さらに、野菜を食べる習慣を子どものうちに付けてもらおうと全ての区の保育園で野菜を自分で調理して食べる授業を作っている。

足立区ではコンビニや牛丼チェーン店も6月から協力してくれることになり今まで縁がない人も対象になりそうだという。

いつの間にか健康診断?

ワンコインで健康診断を行う民間の会社が、知恵を絞り「健康無関心層」はどこに居るのか考えた所「パチンコ店」を思いついた。

早速、パチンコ店の駐車場にナース姿の女性と健康診断の設備を作るとお客さんが増えたと言う。

東京大学大学院医学系研究科、近藤尚巳研究室がこの取り組みを知り、さらに詳しく研究した結果、看護師のコスチュームを着た女性を配置した場所では無職の人の割合が増えたと言う。また意外にも女性の受診者も増えたと言う。

www.alterna.co.jp

健康格差撃退法!

管理栄養士の佐々木由樹さんが、健康格差撃退法を紹介。

  • 野菜不足 … 冷凍野菜で補う。寒天、乾燥きくらげはスープに入れるだけでビタミンDや食物繊維が摂れる
  • 減塩 … たれ・粉末は半分に慣れてみる
  • 万病の元を断つ! … 歯磨き

地の塩社 山鹿産乾燥きくらげ45g

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高齢者の健康格差対策について

男女ともに低所得の人のほうが要介護になる割合が高い。これは低所得者が家に引きこもりがちになることが挙げられる。

身体機能や気力が低下して体全体に影響をおよぼすのが原因と考えられる。

ハーバード大学公衆衛生大学院の、イチロー・カワチ教授。

「最も身体機能を保つのに効果があったのは”社会参加・交流”だった」

社会参加は、健康を保つ要因としてとても注目している。

愛知県武豊町(人口4万3千)では、わずか4年でのべ12,000人が参加するようになった。

その秘訣は、徒歩15分以内の「憩いのサロン」の建設。

また住民が参加しやすいように近所の人々をボランティアとして参加してもらった。やがてお年寄りたちも来るようになり、慣れるとみんな楽しく喋って帰ってゆくと言う。

愛知県武豊町では、サロンの事業費として年間630万円を掛けたが、その成果として介護給付費年間1,500万円を削減することに成功している。

  • 人と繋がりがあると…体を自然に動かし、病院の情報などを知ることが出来る、食事のおすそ分けなどの交流が生まれる

NHKスペシャル「健康格差」反響ツイート

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